主計町茶屋街 観光ガイド|灯ゆれる浅野川沿いの花街。金沢でいちばん艶やかな夜

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主計町茶屋街 観光ガイド|灯ゆれる浅野川沿いの花街。金沢でいちばん艶やかな夜

浅野川のほとり、ふたつの坂が結ぶ静かな花街。主計町茶屋街の見どころを紹介

桜が咲く浅野川沿いの主計町茶屋街周辺

金沢の街なかを流れる浅野川。その左岸に、紅柄格子(べんがらごうし)の家並みが川に沿って続く一角があります。主計町(かずえまち)茶屋街です。

金沢の茶屋街でいちばんよく知られているのは、いつも観光客でにぎわうひがし茶屋街です。けれど、浅野川をはさんだ対岸にある主計町は、三つの中で最も小さく、最も静かな花街です。

この小さな花街には、ほかの二つにはない見どころがあります。川面にせまる町並みの情緒、そして街と神社を結ぶふたつの坂。坂は、金沢ゆかりの文豪たちが歩いた道でもあります。

この記事では、主計町茶屋街の魅力を紹介します。

主計町茶屋街

桜並木とぼんぼりが続く主計町茶屋街の通り

主計町茶屋街は、石川県金沢市にある、ひがし茶屋街・にし茶屋街と並ぶ金沢三茶屋街のひとつです。浅野川の左岸に紅柄格子の茶屋建築が連なり、三茶屋街の中で最も規模が小さく、静かな風情を楽しめる花街として知られます。

主計町茶屋街 基本情報
項目内容
名称主計町茶屋街(かずえまちちゃやがい)
営業時間店舗・施設により異なる
所在地〒920-0908 石川県金沢市主計町
アクセス城下まち金沢周遊バス・北鉄バス「橋場町」バス停から徒歩約5分/ひがし茶屋街から浅野川大橋を渡り徒歩約5分
公式サイトhttps://www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp/spot/detail_52358.html

浅野川を映す、紅柄格子の家並み

主計町茶屋街の見どころは、まず浅野川沿いの町並みそのものにあります。

浅野川沿いに桜と紅柄格子の家並みが続く主計町茶屋街

浅野川大橋から中の橋までの間、川の左岸に、二階建ての茶屋建築が水辺に沿って連なります。一階の格子は、紅柄(べんがら)と呼ばれる赤茶色に塗られた紅柄格子。座敷を備えた背の高い二階が、川沿いの細い通りに続きます。川面のすぐそばに家並みが立ち並ぶことから、この一帯は古くから「ながれ」と呼ばれてきました。

浅野川沿いの細い通りに連なる主計町茶屋街の茶屋建築

三つの茶屋街のうち、川沿いに建つのは主計町だけです。水の音を聞きながら花街の通りを歩けるのは、ここならではの楽しみです。

通りは短く、路地は細く、観光客の数もひがし茶屋街ほど多くありません。せわしなさのない通りで、加賀の花街の風情をゆっくりと感じられます。

主計町事務所の看板と桜がある茶屋街の町家路地

主計町は、ひがし茶屋街とともに、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれています(2008年・平成20年)。江戸時代から続く茶屋町の景観が、今も町ぐるみで守り継がれています。

暗がり坂とあかり坂。文豪が歩いた、ふたつの坂

主計町には、川沿いの通りと高台の町とを結ぶ、ふたつの坂があります。どちらも、金沢ゆかりの文豪に縁の深い坂です。

主計町茶屋街から久保市乙剣宮へ上る暗がり坂の石段

ひとつは、暗がり坂(くらがりざか)。主計町茶屋街から、高台に鎮座する久保市乙剣宮(くぼいちおとつるぎぐう)へと上る、石段の小路です。両側から木々や建物がせまり、日中でもほの暗いことから、この名で呼ばれています。

金沢で生まれた明治の文豪・泉鏡花(いずみ きょうか)は、この坂の近くで育ちました。幼い頃、この坂を通って学校へ通ったといわれます。神社の参道から茶屋街へと一気に下りていくこの坂は、表通りからは見えない、主計町の隠れた入口でもあります。

暗がり坂のすぐ近くに、もう一本、あかり坂があります。

あかり坂の石碑と高台へ続く石段

もとは名のなかったこの坂に名前を付けたのは、金沢を舞台に数々の作品を書いた作家・五木寛之(いつき ひろゆき)です。泉鏡花にちなんで「あかり坂」と名付けられました。

浅野川のほとりに広がる主計町の風景は、泉鏡花や五木寛之の作品にもたびたび描かれてきました。ふたつの坂をめぐりながら、文豪たちが見たであろう花街の面影をたどれます。

富田主計の町名がよみがえる。茶屋町が刻んだ歩み

旅館木津屋の看板が掛かる主計町茶屋街の木造建築

なぜ、この一角が「主計町」と呼ばれ、花街として今に続いてきたのか。その背景には、町名と茶屋町の歩みがあります。

「主計町」という名は、江戸時代にこの地に屋敷を構えた加賀藩士・富田主計(とだ かずえ)に由来します。人の名が、そのまま町の名として受け継がれてきました。

茶屋町として主計町が栄えたのは、明治から昭和の戦前期にかけてです。最も賑わった昭和の初め頃には、この狭い一帯に48軒もの茶屋が軒を連ね、町のほとんどが茶屋だったといわれます。

そもそも茶屋とは、芸妓(げいぎ)が舞や唄、三味線の音で客をもてなす座敷のことです。主計町には今も三軒のお茶屋があり、芸の伝統が受け継がれています。ただし、お茶屋でのおもてなしは紹介客が基本で、一見(いちげん)さんは利用できないのが習わしです。観光で訪れる際は、表通りの家並みを外から眺めて楽しみます。

主計町の名は、一度、地図から消えたことがあります。1970年(昭和45年)、周辺と統合されて「尾張町2丁目」となり、町名が失われました。その名がよみがえったのは1999年(平成11年)のことです。全国で初めて旧町名が正式に復活した町が、この主計町でした。

灯がともる頃が、いちばん艶やか

主計町の風情がいっそう深まるのは、日が暮れてからです。

夕暮れの浅野川と橋にともる明かり

夕暮れどきになると、川沿いの料亭やお茶屋に、ひとつ、またひとつと明かりがともります。紅柄格子の隙間からこぼれる灯が、足元の石畳と浅野川の水面をやわらかく照らします。

夜の主計町茶屋街で町家の灯りが照らす川沿いの石畳

日が落ちる頃には、お座敷へ向かう芸妓の姿を川沿いの道に見かけることもあります。ときおり、お座敷から漏れる三味線や太鼓の音が通りに流れ、花街ならではの風情を感じられます。観光地のにぎわいとは無縁の、しっとりとした宵のひとときです。

派手な夜景があるわけではありません。けれど、灯と水音と三味線の響きが溶け合う夜の主計町は、加賀の花街がもっとも美しく映る時間です。

格子戸の灯りがともる夜の主計町茶屋街の細い路地

暖簾をくぐって、花街の中へ。主計町の食事処とカフェ、バー

暖簾と紅柄格子の町家が並ぶ主計町茶屋街の路地

主計町に連なる町家は、今もその多くが現役のお店です。加賀の旬を盛る日本料理や鮨、冬の名物・寄せ鍋の老舗、茶屋を生かした町家カフェ、夜の路地にともるバー。暖簾をくぐれば、かつての茶屋建築のなかで、加賀の食事やお茶、一杯のお酒を楽しめます。

主計町茶屋街の店舗一覧
店舗ジャンル営業時間定休日特徴
いち凛日本料理11:30 〜 13:30(L.O.)
17:00 〜 22:30(L.O.)(火曜は夜のみ)
月曜(火曜のランチ休)版画家の旧居を改装した町家で、旬の食材と地酒のコース料理を供する
鮨処 あさの川寿司昼 11:30 〜 14:30(L.O.14:00)
夜 17:30 〜 22:00(L.O.21:30)
水曜・木曜名店「小松弥助」で修業した店主が握る、日本海の幸の鮨
鮨 むかい川寿司平日 18:00 〜 21:00
土日 12:00 〜 14:00・18:00 〜 21:00
水曜(不定休あり)浅野川を望む町家2階の小体な鮨店。カウンター主体
太郎鍋料理17:00 〜 22:00(L.O.20:30)不定休(年末年始休)60年以上続く鍋の老舗。秋 〜 春は名物の寄せ鍋、夏は会席。全室個室・要予約
八巻すき焼きランチ 11:30 〜 15:00(L.O.14:00)月・火・水曜(不定休あり)あかり坂の麓に立つすき焼き専門店。和モダンな町家でプレミアム牛
町家カフェ 土家カフェ土・日・祝中心(不定休)平日ほか不定休大正2年(1913年)築の茶屋を生かした町家カフェ。浅野川を望む座敷で珈琲と甘味
彩賀カフェカフェ 12:00 〜 17:00
バー 20:00 〜 24:00
不定休(水曜はカフェ休)昼はカフェ、夜はバーの二つの顔を持つ町家の店
まゆ月 くらがり坂和カフェ完全予約制(時間は要確認)不定休くらがり坂近くの完全予約制。茶室や座敷で過ごす和カフェ&バー
仲乃家バー・お茶屋カフェ 11:00 〜 16:00
バー 19:30 〜 24:30
芸妓が在籍する現役のお茶屋。夜は一見さんも入れるバーを営む
Barあさ見 小町バー18:00 〜 翌0:00(L.O.23:00)日曜明治期の町家を改装したバー。石川の地酒と山崎などのウイスキー
Bar 一葉バー19:00 〜 翌2:00日曜・祝日料亭を思わせる日本家屋のバー。カクテルと日本酒に力を入れる

坂を歩き、灯をくぐる。金沢の物語が宿る花街へ

満開の桜とぼんぼりに彩られた主計町茶屋街の川沿い通り

主計町茶屋街は、金沢で過ごす時間に物語を添えてくれる花街です。

浅野川にせまる紅柄格子の家並み、文豪が通った坂、灯のともる宵。そのどれもが、花街の暮らしが今も続くなかにある、生きた風景。歩いて、眺めて、暖簾をくぐれば、その物語の中にあなたも身を置けます。

金沢の華やかさのとなりで、静かに時を重ねてきた、大人の花街。主計町茶屋街へぜひ足を運んでみてください。

町家カフェ土家の暖簾と主計町茶屋街の川沿いの町並み
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