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土塀が連なる長町武家屋敷跡。その一角に、江戸時代から続く薬種商の建物を移築した、金沢市老舗記念館があります。
加賀の豊かな文化が伝える絢爛な品々、和を感じる内装や庭の侘び寂び、そして菓子職人の技が究まった圧巻の一作。江戸時代から続く歴史ある商家の館で、加賀の町人文化に出会えます。
この記事では、金沢市老舗記念館の見どころを紹介します。

金沢市老舗記念館は、石川県金沢市の長町武家屋敷跡にある町人文化の展示施設です。1579年(天正7年)創業の薬種商「中屋薬舗」の建物を移築し、明治期の店先や、金沢の婚礼文化、老舗が伝える生活道具などを公開しています。ミシュラン・グリーンガイド1つ星に選ばれた施設です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 金沢市老舗記念館 |
| 評価 | ミシュラン・グリーンガイド1つ星 |
| 国登録有形民俗文化財 | 金沢の売薬製造・販売用具 1,067点(中屋家所蔵) |
| 開館時間 | 9:30 〜 17:00(入館は16:30まで) |
| 休館日 | 月曜日(祝日の場合は直後の平日) / 展示替え期間 / 年末年始(12/29 〜 1/3) |
| 入館料 | 一般 ¥100 / 高校生以下 無料 ※前田土佐守家資料館とのセット券(¥360)がお得 |
| 電話番号 | 076-220-2524 |
| アクセス | バス停「香林坊」より徒歩約5分 / 金沢ふらっとバス「老舗記念館」下車すぐ |
| 所在地 | 〒920-0865 石川県金沢市長町2丁目2番45号 |
| 公式サイト | https://www.kanazawa-museum.jp/shinise/ |
黒い格子戸が連なる1階に、白漆喰と木格子の2階。黒瓦の屋根が重厚な町家構えを支えています。長町武家屋敷の土塀景観の中にあるこの建物が、金沢市老舗記念館です。

館の建物は、創業から440年以上続く薬種商「中屋薬舗」の館。加賀藩御用商家として築かれた明治の姿が、外観から内部まで一棟丸ごと残されています。加賀の商家文化を物語る、貴重な歴史的建造物です。

本館見どころの一つがこの「みせの間」。明治期の薬種商(漢方薬や生薬を扱う薬店)の店内が当時のまま再現されています。

帳場で算盤をはじく番頭の人形。背後には、引出し一段ずつに薬の名が記された薬箪笥が立ち並び、当時の薬のパッケージや広告も展示されています。


展示には、当時の道具が実物のまま使われています。レプリカでも復元でもない本物に囲まれた空間だからこそ、明治の薬店の現場をそのまま体感できるのが魅力です。

館内には、来客を招く「おえの間」、書を嗜む「書院の間」、茶を点てる「茶室」があります。商家でありながら、武家屋敷顔負けの格式ある和の空間です。



また、敷地には、苔と石、灯籠、蹲が配された日本庭園もあります。
金沢市老舗記念館の日本庭園
加賀藩の町年寄を務めた中屋家の格式は、座敷から庭まで一貫した和の佇まいに今も見て取れます。商家ながらこれほどの空間を一式備えられたこと自体が、加賀商人の経済力の高さを物語ります。
加賀文化の美しい一面にも触れられます。それが加賀の婚礼文化を伝える展示「婚礼模様」です。

華やかな絹の暖簾「花嫁のれん」。加賀友禅で染め上げた絢爛な暖簾を、新婦が婚家の仏間でくぐり、ご先祖に挨拶を済ませる。金沢の旧加賀藩エリアに今も継がれる、独特の婚礼風習です。

結納の儀礼で使われる「加賀水引」の細工も並びます。紙の水引一本一本から立体に組み上げられた工芸品。指先で触れたら崩れそうなほど繊細でありながら、加賀の老舗が代々受け継いできた確かな技が見て取れます。
そのほか、紫地に鶴を刺繍した豪華な花嫁衣装、輪島塗の重箱、祝い菓子の「五色生菓子」など、金沢の祝いの席を彩ってきた品々が並びます。町人文化が育んだ華やかさが、ここに集まっています。

100年以上続く金沢の老舗が出展する企画展「百年展」。展示室には、各老舗の屋号を記した暖簾が天井から下がり、店々が代々伝えてきた品々が並びます。

漆塗りの重箱や蒔絵の食器、陶磁器、刀剣、商家の書画や古文書。一つひとつには、それを伝えてきた老舗の名が添えられ、金沢の街を支えてきた商家の歴史が浮かび上がります。
金沢老舗百年展の展示品
展示替えは年に3回ほど。訪問の時期によって、違う老舗・違う道具に出会えます。一度の見学では辿り尽くせない、息の長い企画展です。
ガラス越しに広がるのは、黒漆塗りに金細工をあしらった御輿。その上に、桜の白、山吹の黄、ぼけの赤といった色鮮やかな花々が咲き乱れる、ダイナミックで生き生きとした作品。

ところが、この瞬間まで誰もが疑いません。
これらの花は すべてお菓子 で作られています。
制作に使われた花びらは、桜・山吹・ぼけを中心に、約1万3千枚。一輪一輪、一枚一枚を、餅・粉糖・食紅などで職人が手で象り、彩色し、組み上げた工芸菓子です。完成までに要した期間は、約9ヶ月。

1994年(平成6年)に金沢で開催された「第22回全国菓子大博覧会(金沢菓子博’94)」に出品された作品で、テーマは「春を迎え歓び跳る北の人々」。長く厳しい冬を越え、ようやく春を迎えた北陸の喜びを、御輿に咲き誇る花々で表現したものです。
近づいてじっくり見ても、それが菓子だとは信じがたい。離れて見ても、立体的な花の構図はまさに生花そのもの。ぜひ現地で実際に観てみていただきたいです。


明治の薬店、格式ある座敷と茶室、花嫁のれんと加賀水引、百年続く老舗の品々、そして圧巻の花御輿。江戸時代から続く商家の館で、加賀の町人と職人が紡いできた文化に出会えます。
加賀百万石を作り上げてきたのは、金沢の街を支えてきた商人と職人の手仕事。中屋家の館は、その姿を今に伝える数少ない場所です。
江戸の昔から伝わる町人文化の佇まい。長町を巡る際は、ぜひ金沢市老舗記念館へ足を運んでみてください。
