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長町武家屋敷跡。土塀と石畳の小径が続き、加賀百万石の城下町の面影を歩いて楽しめるエリアです。その一角に、2025年から新しく一般公開された庭園があります。それが千田家庭園です。
この庭を作ったのは、明治の世になった金沢で暮らした旧加賀藩士、千田登文。藩政の時代には許されなかった用水の引き込みがようやく叶い、憧れの兼六園を手本に、自らの屋敷へ庭を造りました。加賀随一の名園への思いが、この一庭に凝縮されています。
この記事では、千田家庭園の見どころを紹介します。

千田家庭園は、石川県金沢市の長町武家屋敷跡にある日本庭園です。明治27年(1894年)に旧加賀藩士・千田登文が兼六園を模して作った池泉回遊式庭園です。2025年4月から一般公開されており、金沢市の指定文化財(名勝)に指定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 千田家庭園 |
| 開園時間 | 9:30 〜 17:00 |
| 休園日 | 月曜・木曜 / 催事日 |
| 入園料 | 一般 ¥700 / 小人 ¥500(6 〜 12歳) |
| 電話番号 | 080-8735-9695 |
| アクセス | バス停「香林坊」より徒歩約5分 / 金沢ふらっとバス長町ルート「長町武家屋敷跡」より徒歩約1分 |
| 所在地 | 〒920-0865 石川県金沢市長町1-4-22 |
| 公式サイト | https://www.sendake-garden.com |

千田家庭園は、池を中心に築山をめぐらせた「池泉回遊式」の庭です。池と築山、用水を引いた水の流れと、兼六園を形づくる要素を、屋敷の庭に取り入れています。

この庭の主役は水です。金沢城の普請にも使われた金沢最古の用水「大野庄用水」から水を引き込み、築山の周りを巡って、再び用水へと戻る造りになっています。兼六園もまた、辰巳用水の水を園内に巡らせた庭です。城下を流れる用水を庭に取り込むのは、金沢ならではの造りです。

池にはアユが泳ぎ、夏は蛍、冬は鷺の姿も見られます。庭木はアカマツ・クロマツが主で、池のまわりにはサツキやツツジ、カキツバタが植えられています。


庭の奥には、滝があります。長く止まっていた流れが、百年ぶりに復活し、水音がよみがえりました。

池には、加賀の地で採れる赤戸室石(あかとむろいし)を使った石橋が架かります。石橋には縄がくくりつけられた石が設置されており、ここは通行できないことを表しています。
耳でも楽しめる仕掛けもあります。江戸中期から伝わる水琴窟(すいきんくつ)は、地中の甕に落ちた水が琴のような音を響かせるという非常にユニークなもの。

地中には大きな甕(かめ)が設置されており、それによって地中に作りだした空洞の中に水滴が落下。その際に発せられる音を反響させる仕組みで、江戸時代に考案された庭園技法の1つです。

本当に不思議な音がするので、是非聞いてみてください。
千田家庭園は、オーナーご夫婦とスタッフによって運営されています。千田家の歴史から庭園の紹介まで、とてもよく解説してくれます。英語での解説にも対応しています。


千田家庭園は、兼六園に憧れて造られた庭です。城下の用水を引いた水の流れ、百年ぶりに復活した滝、赤戸室石の石橋に、地中で響く水琴窟。加賀を代表する名園の景色が、ひとつの屋敷の中に写し取られています。
同じ長町には、ミシュランの星を得た野村家の名庭もあります。そうした格式ある庭とはまた違い、千田家庭園は、兼六園への憧れから生まれた、コンパクトで親しみのある庭です。水の音を聞きながら、滝や石橋を間近に見られます。
今は4代目のご夫妻が当主を継ぎ、来園者を庭へと迎えています。
長く一族だけが守ってきた庭が、2025年からようやく誰もが訪れられる場所になりました。所要時間は20分ほど、美しい日本庭園を楽しめます。
長町を巡る際は、ぜひ千田家庭園へ足を運んでみてください。
