- 飫肥城見どころ観光ガイド|幻想的な苔の絨毯と飫肥杉に包まれた宮崎の名城
- 飫肥城は宮崎県日南市にある城で、日本100名城の一つ。飫肥杉で復元された大手門、巨大な枡形虎口、樹齢140年の飫肥杉と苔の絨毯が広がる癒しの森、しあわせ杉など見どころを紹介。歴史やアクセス情報も。
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「九州の小京都」と呼ばれる城下町が、宮崎県日南市にあります。
石垣と生垣に囲まれた武家屋敷、格子や壁燈籠が並ぶ商家、水路を泳ぐ錦鯉。江戸時代の面影を残す町並みを歩きながら、郷土グルメの食べ歩きや伝統文化の体験も楽しめます。
この記事では、飫肥城下町の歴史スポット、町並み、グルメ、文化体験まで、見どころを紹介します。

飫肥城下町(おびじょうかまち)は、宮崎県日南市にある城下町です。1588年(天正16年)から明治維新まで約280年間、伊東氏5万1千石の城下町として栄えました。1977年(昭和52年)には九州で初めて重要伝統的建造物群保存地区に選定され、「九州の小京都」として多くの観光客が訪れます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 飫肥城下町(おびじょうかまち) |
| 所在地 | 宮崎県日南市飫肥 |
| 営業時間 | 各施設により異なる(多くは9:30 〜 16:30) |
| 定休日 | 各施設により異なる |
| 公式サイト | https://obijyo.com/ |
まず初めに、飫肥城下町の全体像を把握しておきましょう。
飫肥城下町は、飫肥城を中心に広がるコンパクトな城下町です。重要伝統的建造物群保存地区の面積は約19.8ヘクタールで、主要なスポットは徒歩で回ることができます。
城下町は平安京を模した碁盤の目状の地割が特徴で、大手門通り・後町通り・横馬場通り・本町通りといった通りが残っています。飫肥城に近いエリアには武家屋敷が、城から離れた本町通りには商家が集まっています。

飫肥城観光駐車場に隣接するチケット販売所は、飫肥城下町観光の起点となる場所です。

飫肥城下町の散策自体は無料ですが、一部の施設は入館料がかかります。
施設ごとの単独券(300円)のほか、6施設に入館できる共通券(800円)があります。さらに、共通券に食べ歩き用の商品引換券5枚がセットになった「あゆみちゃんマップ」(1,600円)も販売されています。
食べ歩きを楽しむなら、あゆみちゃんマップがおすすめです。まずはここでチケットを手に入れてから、城下町散策をスタートします。

飫肥城下町には、江戸時代の面影を残す町並みが広がります。飫肥城に近い通りでは飫肥石の石垣とチャノキの生垣に囲まれた武家屋敷が続き、本町通りでは格子や壁燈籠、番傘で飾られた商家が軒を連ねます。


城下町を流れる水路には錦鯉が泳いでいます。1982年(昭和57年)、かつての水郷としての景観を復活させるために放流されたもので、今では飫肥城下町を代表する風景のひとつです。

通り沿いには飲食店や土産物店が並び、食べ歩きを楽しみながら散策できます。店舗も城下町らしい外観で統一されており、重要伝統的建造物群保存地区の完成度の高さを体感できます。


飫肥城下町には、城跡、武家屋敷、記念館、商家など、歴史を体験できる見どころが数多くあります。主なスポットは以下のとおりです。
| スポット名 | 概要 | 入館料 |
|---|---|---|
| 飫肥城 | 日本100名城。苔と飫肥杉の癒しの森 | 無料(有料施設別途) |
| 飫肥城歴史資料館 | 飫肥藩ゆかりの資料約220点を展示(飫肥城内) | 共通券対象 |
| 松尾の丸 | 飫肥杉で復元された書院造りの御殿(飫肥城内) | 共通券対象 |
| 豫章館 | 藩主が移り住んだ最高格式の武家屋敷 | 共通券対象 |
| 小村寿太郎記念館 | ポーツマス条約締結の外交官を顕彰 | 共通券対象 |
| 商家資料館 | 飫肥商人町で現存する最古の建物 | 共通券対象 |
| 旧山本猪平家 | 明治の豪商が建てた商家の本宅 | 共通券対象 |
| 旧藩校振徳堂 | 小村寿太郎を輩出した藩校 | 無料 |
| 小村寿太郎生家 | 小村寿太郎の生家跡 | 外観のみ |
| 旧高橋源次郎家 | 国登録有形文化財の武家屋敷 | 無料 |

飫肥城は、飫肥城下町最大の見どころです。日本100名城にも選定されており、旧本丸跡には樹齢140年を超える飫肥杉と苔の絨毯が広がる「癒しの森」があります。
飫肥杉で復元された大手門、敵を翻弄する巨大な枡形虎口、パワースポットとして人気の「しあわせ杉」など、見どころが豊富です。飫肥城の詳細は以下の記事で紹介しています。
飫肥城について詳しく見る

豫章館(よしょうかん)は、飫肥城下で最も格式の高い武家屋敷です。1869年(明治2年)に建てられ、飫肥藩第14代藩主・伊東祐帰が城内から移り住みました。
邸内にあった樹齢数百年の大楠(豫章)にちなんで名付けられました。主屋、茶室、薬医門が残り、南面には武学流の枯山水式庭園が広がります。藩主の暮らしぶりを伝える建築と、庭園の静謐な美しさが魅力です。

小村寿太郎記念館は、飫肥出身の外交官・小村寿太郎の功績を顕彰する施設です。1993年(平成5年)に開館し、2022年(令和4年)にリニューアルされました。
小村寿太郎は1855年(安政2年)に飫肥藩士の子として生まれ、日英同盟の調印や日露戦争の講和条約(ポーツマス条約)の締結、不平等条約の改正に尽力した明治を代表する外交官です。館内では資料やビデオで生い立ちから業績までを紹介しています。2025年は生誕170周年の記念年にあたります。
商家資料館は、1870年(明治3年)に山林王・山本五兵衛が建てた土蔵造りの建物です。飫肥の商人町で現存する最古の建物として知られています。
白漆喰壁に樹齢200年以上の飫肥杉の梁を使った豪壮な造りが特徴です。館内には当時の商人たちが使用していた道具など221点が展示されており、飫肥の商人文化を今に伝えています。

旧山本猪平家は、1907年(明治40年)頃に飫肥の豪商・山本猪平が建てた商家の本宅です。1929年(昭和4年)に増築され、ほぼ建築当初のままの状態で保存されています。
タイルがあちこちに使われた外観が特徴で、明治時代の商人屋敷を伝える貴重な遺構です。商家資料館とあわせて見学すると、飫肥の商人たちの繁栄ぶりがうかがえます。
飫肥城下町では、江戸時代から受け継がれる郷土料理を楽しめます。また、通年で食べ歩きイベントを実施しており、地元グルメを味わいながら城下町を散策できます。
飫肥を代表する郷土料理が「おび天」と「厚焼き玉子」です。

おび天は、日南海岸で水揚げされた魚のすり身に豆腐・黒砂糖・味噌を合わせて揚げた天ぷらです。江戸時代から城下町で愛されてきた味で、ほんのり甘い独特の風味が特徴です。唐辛子、ごぼう、しそなど、さまざまなバリエーションがあります。
厚焼き玉子は、砂糖とみりんを加えた溶き卵を一晩寝かせ、裏ごしして銅鍋で焼き上げる飫肥伝統の卵料理です。かつて殿様にも献上されたといわれ、和風プリンのような口当たりが楽しめます。飫肥ではお正月やお祝い事に食べる特別な一品です。
飫肥城下町では、2009年から「あゆみちゃんマップ」という食べ歩き企画を実施しています。2025年1月には利用者が35万人を突破した人気企画です。

5枚の商品引換券がセットになっており、参加29店舗でおび天、厚焼き玉子、飫肥せんべいなどの地元グルメと交換できます。城下町を散策しながら、少しずつ食べ歩きを楽しめるのが魅力です。
あゆみちゃんマップは、飫肥城観光駐車場のチケット販売所や飫肥駅「にちなん屋」で購入できます。
あゆみちゃんマップについて詳しく見る
飫肥城下町では、伝統文化に触れる体験や季節のイベントも楽しめます。
飫肥城下まつりは、毎年10月第3土曜・日曜に開催される飫肥最大のイベントです。1978年(昭和53年)に始まり、約4万7,000人が訪れます。
まつりの見どころは「泰平踊」と「時代絵巻パレード」です。泰平踊は、1707年(宝永4年)に飫肥藩と薩摩藩の和解を祝って始まった郷土舞踊で、宮崎県指定無形民俗文化財に指定されています。元禄の伊達姿で武芸をかたどる踊りは、力強さと優雅さを併せ持ちます。
2日目の時代絵巻パレードでは、馬にまたがった侍大将や女武者、人力車に乗ったミスお姫様などが本町通りを練り歩きます。歴史的な町並みを背景に繰り広げられる時代絵巻は、飫肥城下まつりならではの見どころです。
DENKEN WEEKは、毎年11月上旬に約9日間開催されるアートイベントです。2018年から始まり、重要伝統的建造物群保存地区(DENKEN)の歴史的な町並みと芸術がコラボレーションします。
文化財を舞台にしたアート作品の展示、演奏会、ワークショップなど、さまざまなプログラムが行われます。飫肥杉を混ぜたオリジナル手すきはがき作りなど、飫肥ならではの体験も楽しめます。
四半的(しはんまと)は、飫肥藩に伝わる伝統的な半弓です。1991年(平成3年)に日南市無形民俗文化財に指定されています。

名前の由来は、射場から的までの距離が四間半(約8.2m)、弓矢の長さが四尺半(約1.36m)、的の大きさが四寸半(約13.6cm)と、すべて「四〜半」にちなんでいることです。横向きに正座して的を射る独特のスタイルで、的に当たると「サイコー!」と掛け声をかけます。
飫肥城観光駐車場横の射場で通年体験でき、大人450円(8射)で気軽に挑戦できます。
飫肥城下町へは、車または公共交通機関でアクセスできます。
| 移動手段 | 最寄り | 備考 |
|---|---|---|
| 車 | 東九州自動車道 日南東郷IC | 飫肥城観光駐車場(無料)有り |
| 電車 | JR日南線「飫肥駅」下車 | 飫肥駅にレンタサイクル有り |
| バス | 宮崎交通「飫肥城」バス停下車 | バス停は飫肥城観光駐車場と同じ場所 |
公共交通機関の場合、バスまたは電車で、宮崎駅から乗り換えなしでアクセスできます。どちらも所要時間は約70分ですが、互いに運行本数が多くないため、どちらで行くかは旅程に合わせて選ぶのがオススメです。

飫肥城下町には、九州初の重要伝統的建造物群保存地区として守り継がれてきた町並みが広がります。
武家屋敷、商家、水路を泳ぐ錦鯉。伊東氏が280年かけて築いた城下町の景観が、今も住民たちの手で守り継がれています。
歴史スポットを巡り、郷土料理を味わい、伝統文化を体験する。
徒歩圏内にすべてが凝縮された飫肥城下町で、江戸時代から続く「九州の小京都」を体感してみてください。
