
- 松山城の天守を徹底解説!現存12天守×連立式構造の美と迫力!
- 現存12天守のひとつ「松山城」。この城が特別な理由は、全国でも珍しい連立式天守の構造美と眺望、そして現存する歴史的建築群にあります。
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愛媛県松山市の中心にそびえる松山城は、現存 12 天守のひとつとして知られ、歴史的価値だけでなく、その圧倒的な存在感と眺望で多くの人を魅了しています。標高 132m の山頂に築かれたその姿は、市内のあらゆる場所から見上げることができ、まさに街のシンボルといえる存在です。
そんな松山城の魅力は、連立式天守や美しい石垣、本丸からの絶景はもちろんのこと、麓の庭園や公園、商店街、さらには夜のライトアップまで、お城そのもの以外にも見どころが数多く点在しています。
この記事では、初めて松山城を訪れる方にもわかりやすく、松山城観光の見どころを紹介していきます。
松山城は、日本に 12 個しか現存していない天守の一つであり、また連立式天守を持つ極めて希少な城郭建築として知られています。築城は 1602 年、加藤嘉明によるもので、その後松平氏により江戸時代を通じて守られてきました。
区分 | 料金 |
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大人 | ¥520 |
小人(小学生) | ¥160 |
区分 | 往復券 | 片道券 |
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大人 | 520円 | 270円 |
小人 | 260円 | 140円 |
松山城の中心にそびえるのが、現存12天守のひとつである本壇(ほんだん)です。その堂々たる姿は、築城から400年以上の時を経てなお、訪れる人々を圧倒し続けています。
内部に入ると、太い梁や柱が支える木造建築の力強さが目に飛び込み、石落としや狭間(はざま)といった戦いのための構造にも触れることができます。博物館ではなく、「戦うための城」そのものに足を踏み入れている感覚が味わえるのは、現存天守ならではの体験です。
また、天守内では松山城の築城や歴史に関する展示から、刀剣、甲冑などの展示もあり、当時の武将たちの息遣いを感じるようなひとときが過ごせます。松山城を訪れるなら、この本壇こそが観光の核心。歴史と緊張感、そして建築美を一身に体感できる場所です。
松山城一帯は基本的に無料ですが、この天守を含む本壇へのアクセスのみ有料となっています。
松山城天守について詳しく見る
天守の最上階に登ると、そこには松山城ならではのご褒美が待っています。 ぐるりと視界が開けた展望スペースからは、遮るもののない360度の大パノラマ。松山市街や瀬戸内海、そして天気の良い日には遠く石鎚山系までをも望む大パノラマが広がります。
特に、眼下に勝山の頂上である本丸広場、そこからさらにひろがる都市絶景の連なりは、松山城が山上の城であることを実感させてくれる、松山城ならでは景色です。
天守のすぐ足元に広がる本丸広場は、松山城観光の中でもとくに開放感を感じられる場所です。標高 132m の高台にあるこの広場は、眼下に松山市街、視線を上げれば瀬戸内海や石鎚山系が見渡せる絶好のビュースポット。天守からの眺望とはまた異なる、“広がり”のある風景を楽しむことができます。
また、ここでは観光客の楽しみを支える設備も充実しています。名物「みかんジュースが出る蛇口」でちょっとした体験をしたり、軽食やお土産を選んだりと、天守見学の前後に立ち寄ってひと息つくのにぴったりです。
さらに、城を支える高石垣のスケール感や、広場から見上げる天守の威厳ある姿もまた印象的。方角によって景色が全く違いますので、自分だけの「松山城の特等席」を見つけてみてください。
松山城の登城ルートで注目すべき見どころのひとつが、巧みに配置された「門」の数々です。特に戸無門(となしもん)、そして隠門(かくれもん)は、それぞれに異なる構造と役割を持ち、敵の侵入を徹底的に阻む工夫が凝らされています。
戸無門はその名の通り扉を持たない特異な構造で、敵の動線をコントロールするための仕掛けとなっています。
戸無門敵は門が開いていると思い自然とこの門を通過し侵入します。そしてその直後に、立派な筒井門が現れます。これによって敵は、この先に天守があると思い込み、筒井門を通過します。筒井門にはもちろん、兵士の抵抗がありますが、ここで機能するのが次の隠門です。
隠門は、その存在に気づかれにくいよう配置された「見えにくい門」。不意打ちを仕掛けるための隠し通路のような役割も果たしていました。
隠門戸無門から敵を誘い込み、筒井門へ誘導、筒井門の先で兵士と戦っているところを、筒井門の奥にある隠門から兵士が出てきて背後から挟み撃ちにする。という防御戦略の元、構築されています。
こうした門を実際に歩きながら体感すると、城が「見せる建築」だけでなく、「戦うための要塞」であったことが実感できます。松山城の防御思想と築城技術の奥深さを感じながら、門をくぐるごとに時代の空気を味わってみてください。
本丸へと向かう道中、まず目を奪われるのが高さ 17m を誇る「高石垣(たかいしがき)」。その圧倒的な存在感と、自然地形を巧みに活かした造形美は、築城技術の高さと実戦的な防御力を物語っています。石垣の上に立つと、眼下に広がる風景と相まって、まさに“守るための美”を実感できます。
その高石垣を抜けた先、本丸を取り囲むように残る乾櫓や艮櫓などの櫓群も必見です。防御の要として配置されたこれらの櫓では、石落としや狭間(さま)といった攻撃用の構造を間近で観察でき、戦国時代の緊迫感を肌で感じることができます。
さらに、足元の石垣には野面積みや打ち込みハギといった多彩な築法が見られ、石の積み方ひとつからも、時代背景や職人たちの技術が伝わってきます。武者走りや井戸跡などの遺構も点在し、歩くほどに新たな発見があるのも松山城ならでは。
“美しさの裏にある、徹底した防御”。その真価を、歩きながら体感してみてください。
二之丸史跡庭園は、本丸のある勝山の麓にある、かつて藩主の御殿が建ち並んでいた二之丸跡に整備された静かな回遊式庭園です。庭園内には池泉や芝生が広がり、歩道も美しく整備されており、松山城の城郭全体の広がりや格式を感じることができます。
また、二之丸史跡庭園は 2013 年に「恋人の聖地」としても認定されており、カップルに人気のスポットとして知られています。日露戦争にまつわるロマンス(ロシア人捕虜の男性と日本人女性看護師)の逸話や、結婚式の前撮りスポットとして年間700組以上が訪れるなど、歴史的な場所でありながら、現代的な魅力も兼ね備えたスポットとなっています。
三之丸にあたる堀之内地区には、広大な城山公園が整備され、市民の日常の中に松山城の歴史が自然に息づいています。芝生広場や遊具、野外ステージなどもあり、観光客だけでなく地元の人々の憩いの場としても愛されています。
かつては武家屋敷などが立ち並んでいたこの場所も、いまでは四季折々の自然を楽しめる公園として再整備され、松山城のもうひとつの顔を見せてくれる存在です。特にさくら広場は、春には多くの桜が園内を彩り、松山城と桜の風景を楽しめる名所となっています。
松山城はライトアップの美しさでも知られています。連立式天守が闇夜に浮かび上がるその光景は、昼間の堂々とした印象とは異なり、とても幻想的です。
静かな夜の空気の中で浮かび上がるそのシルエットは、まるで物語の中に登場するような、夢の中に現れたような美しさです。このライトアップは、松山城が「日本夜景遺産」に選定されていることからも、その価値の高さがうかがえます。
松山ロープウェー街は、松山城ロープウェイ乗り場へと続く道沿いに広がる、雰囲気のある商店街です。全長約500mにわたって、地元の老舗店やこだわりの雑貨店、カフェ、飲食店などが軒を連ねています。
ここでは、愛媛らしいお土産を扱う店や、郷土料理を味わえる飲食店が充実しており、観光前後の食事やショッピングにも最適です。店内でゆっくりと食事が楽しめるスタイルが中心で、落ち着いた雰囲気の中、観光気分をさらに盛り上げてくれます。
なお、松山ロープウェー街でランチをするなら、愛媛名物である鯛めしが楽しめる老舗の食事処「丸水本店」がおすすめです。落ち着いた和の雰囲気の中で、絶品の宇和島鯛めしを堪能できます。
丸水本店について詳しく見る
食事もショッピングも楽しめるのが松山ロープウェー街。リフトで降りてきたらそこがすぐ商店街ですので、松山城で歴史も楽しんだ後は、美味しく楽しんでみてください。
松山城へ向かう道のりも、実は観光の楽しみのひとつです。城が建つ勝山(かつやま)は標高132m 。ふもとから本丸までのアクセスには、ロープウェイ・リフト・徒歩という3つのルートが整備されており、訪れる人のスタイルに合わせて選べます。
なかでも人気なのが、ロープウェイやリフトを使った登城ルート。ロープウェイ乗り場は大街道から徒歩圏内、松山ロープウェー商店街にあります。ロープウェイは約 3 分、リフトは約 6 分で頂上駅に到着します。特にリフトは開放感があり、下り方面は松山市街地の風景も楽しめるため、下りではリフトに乗るのがおすすめです。
ロープウェーやリフトの到着駅から天守のある本丸広場までは徒歩で向かいますが、緩やかな坂道や整備された石段が続き、道中には前述した17mの美しい石垣や防御構造が見られる門・経路構造が次々と現れます。まるで城の歴史を一歩一歩体験しているような気分になれる道のりです。
さらに、自然の中をしっかり歩きたい方には、ふもとからの徒歩ルートもおすすめ。ゆっくりと登るにつれて木々の間から天守が姿を現し、到着したときの感動もひとしおです。
登城そのものが「松山城の魅力」の一部でもあります。どのルートを選んでも、それぞれに違った楽しみと風景が待っています。
上りロープウェーからの眺望
下りリフトからの眺望
ここまでで松山城の見どころをたくさん紹介してきました。これらのスポットの位置関係を踏まえた、おすすめの観光モデルコースをご紹介します。歴史、眺望、街歩きといった松山城の魅力をバランスよく体験できるルートです。
なお、本記事で紹介した本丸エリアの順路と見どころは以下のような位置関係になっています。
天守についてもっと知りたい場合は、以下の記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。
松山城の連立式天守について詳しく見る
本丸エリアの、実際のおすすめ観光コースの様子を知りたい場合、以下の記事で紹介しています。
松山城散策について詳しく見る
四百年の時を経てなお、勝山の頂に威風堂々と佇む松山城。その姿は、築城当時から変わらず松山の街を見守り続けています。
天守最上階から眺める絶景、本丸広場で味わう愛媛名物のみかんソフトクリーム、石垣に刻まれた職人たちの技術、そして夜闇に浮かび上がる幻想的なライトアップ。松山城は、歴史的価値と現代の観光体験の両者を併せ持っています。
戸無門から隠門へと続く巧妙な防御ルートを歩けば、戦国武将たちの息遣いを感じられ、二之丸史跡庭園では「恋人の聖地」として現代のロマンスも育まれています。城下に広がる松山ロープウェー街では、地元の人々が大切に守り続けてきた愛媛の文化に触れることができます。
現存12天守の希少性、連立式天守の美しさ、そして「城の枠を超えた」多彩な魅力。松山城は、歴史ファンはもちろん、絶景を求める人、街歩きを楽しみたい人、カップルや家族連れまで、あらゆる旅行者に満足のいく体験を約束します。
松山城の特徴として、アクセスの良さも挙げられます。山頂にありながらも、松山市の中心に位置しています。松山市最大の観光地、道後温泉からも近く、松山駅と道後温泉の中間地点に位置しているため、道後温泉とセットで訪問できアクセスが良いです。
愛媛県を代表する観光地として、また日本の貴重な文化遺産として、松山城は訪れる価値のある場所です。瀬戸内の温暖な気候に包まれながら、時代を超えた日本の美しさと愛媛ならではのおもてなしを、ぜひ体験してみてください。