道後温泉 椿の湯ガイド2025|地元の日常を感じる、もう一つの温泉体験

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道後温泉 椿の湯ガイド2025|地元の日常を感じる、もう一つの温泉体験

地元の人が通う、道後温泉の素顔に出会える場所

道後温泉と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、歴史ある「本館」や華やかな「飛鳥乃湯泉」かもしれません。

でも、もうひとつの選択肢として知ってほしいのが「椿の湯」。地元の人たちが日常的に通う、あたたかくて気取らない温泉です。

本記事では、建物の雰囲気や浴室の様子、利用方法やアクセスなどを通して、椿の湯の魅力を初めての方にもわかりやすく紹介します。

道後温泉 椿の湯

外観・入口

椿の湯は、1953年に再建された道後温泉の共同浴場で、地元の人々に日常的に利用されている施設です。道後温泉の源泉を本館・飛鳥乃湯泉と共有しつつ、よりシンプルで実用的な設備が特徴です。

営業時間
6:30 〜 23:00(最終受付 22:30)
定休日
年中無休(12月に大掃除のため臨時休館あり)
電話番号
089-935-6586
公式サイト
https://dogo.jp/onsen/tsubaki
駐車場
周辺に市営・民間駐車場あり(有料)
アクセス
伊予鉄道「道後温泉」駅から徒歩約 5 分
所在地
〒790-0842 愛媛県松山市道後湯之町 19-22
利用料金
区分料金
大人(12歳以上)450円
小人(2 〜 11歳)150円

椿の湯は、予約不要で利用できます。

地元の日常が息づく、誇りある外観と素朴な空間

1953年に再建された椿の湯は、白壁と伝統的な瓦屋根の端正な外観が特徴です。地域に根ざした共同浴場でありながら、道後温泉という歴史ある土地にふさわしい、堂々とした佇まいを見せています。

外観(全体)

建物脇にはベンチが設けられており、湯上がりの休憩や待ち合わせ、あるいは地元の人同士の談笑の場としても使われています。

外に設置されたベンチ

館内は、必要なものだけが整えられたすっきりとした空間。木材の質感があたたかみを生み出しており、観光の合間でも肩の力を抜いて過ごせる穏やかさがあります。

エントランス

開放感とやさしさに包まれる、椿の湯の浴室

椿の湯の浴室は、男女それぞれにしっかりとした広さがあり、天井の高い造りが特徴です。壁や天井には明るめの素材が使われており、全体に静かで清潔な印象があります。

浴槽は本館、飛鳥乃湯泉と同様の、石材調の仕上げが施された浴槽です。足を伸ばしてゆったりと湯に浸かることができます。

女子浴室 女子浴室 男子浴室 男子浴室

お湯は、本館や飛鳥乃湯泉と同じ道後温泉の源泉を使用しており、源泉かけ流しです。無色透明でやわらかな肌ざわりが特徴で、湯上がりには肌がすべすべするような感覚があります。泉質はアルカリ性単純温泉で、神経痛や疲労回復などに効果があるとされています。

また、浴槽の一角には、湯口を囲う象徴的な石の構造があり、道後温泉本館と同様に“湯の神様”を大切にする文化を感じさせます。これは、かつてから温泉の源を神聖視し、湯の出どころを敬ってきた日本独自の信仰と建築様式を反映したものです。

湯口には松山市出身の俳人・正岡子規の句が刻まれており、男女でそれぞれ別の句になっています。

女子浴室の湯口に刻まれた句 女子浴室の湯口に刻まれた句 男子浴室の湯口に刻まれた句 男子浴室の湯口に刻まれた句
湯口に刻まれた正岡子規の句
浴室原文意味(現代語訳)背景
女湯順礼の杓に汲みたる椿かな巡礼者が柄杓ですくったのは水ではなく、美しい椿の花だった正岡子規が道後を訪れた際に詠んだとされる句。道後に根付く椿の花と巡礼文化を重ね、風情ある情景を詠み上げている
男湯十年の汗を道後の温泉に洗へこれまでの十年にわたる努力と汗を、道後温泉で洗い流して癒してほしい正岡子規が、後輩の小川尚義の東京大学卒業を祝って詠んだ句。勤勉な日々の労をねぎらい、故郷・松山の道後温泉での静養を願ったもの

椿の湯の利用方法と設備|地元の日常に触れる温泉体験

椿の湯は、観光地でありながらも地域の生活に密着した温泉施設。そのため、基本設備として用意されているものが必要最低限です。また、現金が必要なシーンがあります。スムーズに利用するために、以下の点をあらかじめ押さえておくと安心です。

  • シャンプー・ボディソープ類は浴室内に常設されていません(必要であれば券売機で別途購入)
  • 脱衣所ロッカーは10円の有料式(※返却なし、両替機あり)
  • 靴箱・貴重品ロッカーは100円の返却式(※一時的に現金が必要)
  • ドライヤーの利用は3分10円(コイン式)

以上をふまえて、実際の利用の流れと設備について紹介します。

入浴の流れ

  1. 券売機または受付でチケットを購入: 館内奥の券売機で「入浴券」を購入します。必要な場合は、石けんやタオルなどのアメニティ券もここで同時に購入します。

    • 券売機は現金のみ対応
    • キャッシュレス決済を希望する場合は受付で直接購入
    • 対応ブランド例:VISA, Suica, PayPay など
  2. 靴箱に靴を預ける: 入口すぐの靴箱に靴を入れ、100円を投入して施錠します(返却式)。

  3. 受付でチケットを渡す: 購入したチケットを受付に渡し、レンタルタオルなどがある場合はここで受け取ります。

  4. 脱衣所で着替える: ロッカーは10円式(返却なし)。必要な方は両替機で10円玉を用意できます。

  5. 入浴: 備え付けの石けん類はありません。必要に応じて事前に券売機で購入してください。

  6. ドライヤーの使用: 脱衣所に設置されたドライヤーは3分10円のコイン式です。

設備とアメニティ

  • 脱衣ロッカー:10円で利用可能(※返却なし)

    • 両替機あり:100円玉→10円玉への両替が可能
  • 石けん類(有料):
    • みかん石鹸:60円
    • シャンプー・コンディショナー:各50円
  • その他のアメニティ(有料):
    • 歯ブラシ:30円
    • T字カミソリ:70円
    • 長カミソリ:70円
  • タオル類(有料):
    • 貸フェイスタオル:100円
    • 貸バスタオル:300円
    • オリジナルタオル販売:650円
  • ドライヤー:3分10円(コイン式)

椿の湯を利用する前に押さえておきたいポイント

ここまでをまとめます。以下に留意しましょう。

  • タオル類は、本館や飛鳥乃湯泉と同じく有料
  • シャンプー・コンディショナー・ボディソープは有料のため、持参するか券売機で購入
  • 10円硬貨が最低1枚必要(脱衣所ロッカー用)
    • ドライヤーを使うならさらに必要
  • 100円硬貨が最低1枚必要(靴箱用)
    • 貴重品ロッカーを使用するならさらに必要

100円硬貨への両替は受付でできますが、混雑していると対応してもらうまでに時間がかかる可能性があり、靴箱に靴を収納するだけで時間を要します。10円硬貨、100円硬貨は事前に用意しておくのがベターです。

道後の素顔に出会える、温かな地元の湯

入口付近のベンチで談笑する地元の人たち

椿の湯は、観光地としての華やかさではなく、地域の日常に寄り添う温泉として親しまれてきました。地元の人たちの暮らしに根づいた、あたたかく飾らない雰囲気がここにはあります。

そしてその空気に身を委ねれば、観光では見過ごしがちな「道後の素顔」に出会えます。

価格も本館や飛鳥乃湯泉と比べて安価であることも魅力の一つ。飛鳥乃湯泉と隣同士でもあるため、アクセスは良好です。

観光とはまた違った、道後の日常を体験しに。地元の人たちも多く利用する椿の湯へ、ぜひ足を運んでみてください。

椿の湯外観(入口付近全体)
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