佐渡島で話題の宿根木集落が本気だった!激狭迷路路地にレトロがいっぱい&船大工が発展させた独自過ぎる建築技術

佐渡島で話題の宿根木集落が本気だった!激狭迷路路地にレトロがいっぱい&船大工が発展させた独自過ぎる建築技術

絵になりすぎ!道に迷ったらそこは150年前!?

佐渡島の南端に、不思議な集落があります。入り組んだ路地を曲がるたびに、まるで150年前の港町にタイムスリップしたような感覚。

「ここはどこだろう?」

果たして迷ったのは時代になのか道になのか。でもまた、一人が通れるかどうかの細い路地を進みたくなる。

この集落の名は「宿根木」。江戸時代、廻船業(かいせんぎょう, 江戸時代の海運業を指す言葉。各地の港を回って物資を輸送する商売のこと)で大きく栄えた港町でした。でも、ここがすごいのは、ただの観光地化された古い町並みではないところ。当時の船大工たちが編み出した建築技術が、そのまま現代に受け継がれているんです。

船大工が家を作るという独特の歴史と文化を持っていた、それが宿根木集落。

迷路のような路地をさらに進むと、三角形の家や洋館風の郵便局など、思わず写真を撮りたくなる風景が次々と現れます。日本の原風景とも言える佇まいに、最近では写真好きやレトロ好きの間では密かな人気スポットになっています。

そんな、佐渡島で話題の観光スポット「宿根木伝統的建造物群保存地区」の見どころを紹介します!

宿根木伝統的建造物群保存地区

宿根木集落

宿根木は、佐渡市小木地区に位置する集落で、江戸時代後期(1750年代以降)から明治時代中期(1890年代)にかけて廻船業で栄えた港町です。独特の町並みが繁栄期当時のまま保存され、一般に公開されており、多くの人々が訪れる観光スポットとなっています。この歴史的景観は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

公式サイト
https://shukunegi.com/
駐車場
無料駐車場有り
アクセス
小木港から車で約 10 分
両津港から車で約 1 時間
所在地
〒952-0612 新潟県佐渡市宿根木

これぞ昔の港町!迷路のような路地が織りなす独特の景観

迷路のような路地

宿根木の最大の魅力は、まるで迷路のように入り組んだ路地と、それを囲む古民家の景観です。この町並みは、狭い土地を効率よく利用するため、そして強い海風から家屋を守るために工夫を凝らした結果形成されたものです。道幅が狭く、曲がりくねった路地が沢山あります。

迷路のような路地

路地の両側には、年月を重ねた板壁の民家が立ち並び、所々に覗く緑が潤いを添えています。細い路地は時に人一人がやっと通れるほどの幅しかなく、すれ違う時には互いが身を寄せ合うような距離感が、この町の親密さを象徴しています。

迷路のような路地

船大工の技術をフル活用!独自の発展を遂げた家屋の建築技術

宿根木は海に面しており、塩風や強風など厳しい自然条件にさらされる環境でした。故にこれらの環境に耐えられる丈夫な建物が求められました。

一方で、この地域では海運業が発展し、それに関連する職業、特に船大工が多く存在しました。

そんな船大工たちの高い木工技術が、丈夫で機能的な建造物を作るのに大活躍!

船を建造する技術を家屋に取り入れたことで、耐久性と防水性を追求した独自の建築技術が宿根木では発展しました。

板壁の民家

板壁の民家

宿根木の建物の多くは、風雨や潮風を防ぐために厚い板壁(いたかべ)で囲まれています。この板壁は、船大工の技術が活かされており、頑丈かつ実用的な構造となっています。また、黒く塗られた板壁は防水や防腐効果があり、港町らしい景観を形成しています。

板壁の民

石置木羽葺き屋根

石置木羽葺き屋根

石置木羽葺き(いしおきこばぶき)とは、薄い木の板(木羽)を屋根材として用い、その上に石を置くことで風で飛ばされるのを防ぐ伝統的な屋根構造です。佐渡島のような強風地域に適した技術であり、この技法が現存していること自体が貴重とされています。

見逃し厳禁!迷路を制しビュースポットにたどり着け

宿根木の街並みはどこを切り取っても絵になる魅力がありますが、その中でも特に訪れるべきスポットをご紹介します。宿根木集落は迷路ですから、うっかり見逃さないように要チェックです!

雰囲気最高潮!世捨小路

世捨小路

世捨小路(よすてこうじ)は、石畳が美しい宿根木集落を象徴する路地の一つです。その名前の由来は定かではありませんが、かつては集落の海と山を結ぶ主要な道として、多くの人々に利用されてきました。特に、海岸から村奥の神社やお寺へ向かう際、必ず通る道であり、葬儀では故人の魂がこの道を通って村と別れるとされてきました。

世捨小路

古くからの石畳を踏みしめながら、当時の人々の営みに思いを馳せる。

雰囲気も良く、世捨小路は宿根木でも特に注目される小路の一つです。

レトロモダン!旧宿根木郵便局舎

旧宿根木郵便局舎は、1921年(大正10年)に建てられた宿根木では数少ない洋風建築物で、当時の近代化と繁栄を象徴する建物です。廻船業で成功を収めた石塚権兵衛家が、郵便事業や薬局経営に乗り出し、電信・電話の開始を記念してこの郵便局舎を建設しました。

旧宿根木郵便局舎

外観は洋風の意匠が特徴で、木造ながらもモダンなデザインが目を引きます。緑がかった窓枠や趣のある木材の風合いは、歴史を感じさせるとともに、どこか温かみを感じさせますね。

入口付近に掲げられた古い看板も、当時の時代背景を想起させる貴重な見どころのひとつです。このレトロな感じが哀愁を感じさせて良いですよね。

入口付近に掲げられた古い看板

宿根木集落といえば!三角家

三角家

三角家(さんかくや)は、狭い敷地に見事に適応して建てられた、宿根木を象徴する建物のひとつです。その名の通り、三角形の独特な形状が特徴で、「舟形の家」とも呼ばれています。この建物は、1846 年の水害後に羽茂大橋付近から移築されたものです。

家屋の形は、限られた土地を最大限に活用するために工夫されたもので、船を建造する技術を生かした合理的かつ美しい設計です。

真正面から見ると、どこか舟の先頭のようにも見えますよね。宿根木の船大工たちの卓越した技術と知恵が随所に感じられます。

三角家

現在は一般公開されており(大人300円、中学生以下150円、幼児無料)、当時の船大工の卓越した技術と知恵を間近で見学することができます。

宿根木集落

宿根木の大富豪!清九郎の家

清九郎の家は、江戸時代後期から明治にかけて廻船業で成功を収めた船主の邸宅で、19世紀中期に建てられました。

清九郎の家

建築にはケヤキや一本杉といった高級木材が使用され、漆塗りの戸など細部に至るまで贅を尽くした造りが特徴です。船大工の技術が随所に活かされたこの家は、当時の宿根木の繁栄と富を象徴しています。また、厳しい自然環境に耐えうるよう設計されており、歴史的価値と実用性を兼ね備えています。

黒光りする板壁と風格ある佇まいは、往時の廻船業の隆盛を雄弁に物語っていますね。

清九郎の家

こちらも一般公開されており(大人400円、小・中学生200円)、宿根木の豪商たちが築き上げた優れた住宅建築の真髄を体感することができます。

休憩やトイレはここ!宿根木公会堂

宿根木公会堂

宿根木公会堂は、1958年(昭和33年)に建てられた芝居小屋形式の集会施設です。1921年(大正10年)に建設された旧公会堂の古材を再利用して建てられたという、地域の思いが込められた建物です。その外観と内部からは昭和レトロな雰囲気が漂い、どこか昔の学校のような、、そんな懐かしい気持ちにさせます。レトロ好きは必見ですよ。

近年、耐震補強や設備改修が施され、現在は観光客の休憩所やトイレとしても開放されています。昭和レトロなこの公会堂の中はどんな感じでしょうか、実際に立ち寄ってみてくださいね。

これ見なきゃもったいない!町並み展望所

宿根木の町並みを一望できる展望スポットです。石置き屋根が連なる独特の景観や、背後に広がる日本海を一度に見渡すことができます。意外と気づかないひとが多いのですが、宿根木集落に来たらこの展望所は行かないともったいないです。昔の家々と、海と空、眺望はすごく良いですよ。

展望所から見る宿根木の街並み

展望所から見る宿根木の街並み

展望所から見る宿根木の街並み

絵になる街並みに歴史を重ねた迷路集落

細い路地を歩きながら、ふと立ち止まって見上げる空。黒光りする板壁の間から覗く四角い空の形が、まるで絵画のフレームのよう。石置木羽葺き屋根の連なりが、どこまでも続いていきます。

宿根木の街並み

そんな景色に魅了されるのは、きっと私たちだけではありません。かつてこの地に暮らした船大工たちも、同じ空を見上げていたのかもしれません。彼らが残した技術は、150年以上もの時を超えて、今も私たちの目を楽しませてくれています。

宿根木の街並み

廻船業で栄えた港町は今、静かに歴史を語り継いでいます。宿根木は、佐渡島の穴場観光スポットとして、写真好きやレトロ好きの間で密かな人気を集めています。訪れる人の数は年々増加傾向にあり、特に日本の原風景を求めて、国内外問わず観光客も増えています。

宿根木の街並み

失われゆく日本の原風景を、こんなにも生き生きと体験できる場所は、もう多くは残されていません。石畳を踏みしめながら、ぜひあなたも「迷子になりたくなる街」宿根木へ足を踏み入れてみてください。

宿根木の街並み

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