
- 高松城を歩く|日本三大水城の美しさを現地体験レポート
- JR高松駅から徒歩3分。日本三大水城・高松城の絶景と歴史ある建造物を写真付きで詳しくレポート。
最終更新日:
海に囲まれた美しき城郭、高松城。高松市の中心部という抜群の立地にありながら、日本三大水城の筆頭として圧倒的な存在感を放つこの城には、他では絶対に味わえない特別な体験が待っています。
天守台から望む水城ならではの絶景、城のお堀で泳ぐ鯛への餌やり体験、和船で巡る内堀クルーズ。350年前から現存する重要文化財の月見櫓や、美しく復元された桜御門、格調高い大正建築の披雲閣まで、歴史散策とユニークな体験がこれほど充実した城は他にありません。
本記事では、そんな高松城の見どころを余すところなく紹介します。海水に囲まれた城という珍しい立地だからこそ楽しめる魅力から、重要文化財の建築美まで、高松城が持つ多彩な魅力をお伝えできたら幸いです。
高松城は、香川県高松市の中心部にある日本三大水城の筆頭格として知られる海城です。別名「玉藻城」とも呼ばれ、瀬戸内海の海水を直接お堀に引き込んだ美しい城郭として全国から観光客が訪れます。日本100名城にも選定されている香川県を代表する観光スポットです。
正式名称 | 史跡高松城跡 玉藻公園 |
---|---|
所在地 | 〒760-0030 香川県高松市玉藻町2-1 |
定休日 | 12月29日 〜 12月31日 |
入園料 | 大人:200円、小人(6 〜 15歳):100円、6歳未満:無料 ※2026年4月1日より料金改定予定(大人400円、小人200円) |
所要時間 | 1 時間 〜 1 時間 30 分程度 |
アクセス | JR高松駅から徒歩約3分 高松琴平電気鉄道 高松築港駅から徒歩約1分 |
駐車場 | 玉藻公園専用無料駐車場(57台) |
電話番号 | 087-851-1521 |
公式サイト | http://www.takamatsujyo.com/ |
西門(日の出 〜 日没) | 東門 | |
---|---|---|
4月 〜 5月 | 5:30 ~ 18:30 | 7:00 ~ 18:00 |
6月 〜 8月 | 5:30 ~ 19:00 | |
9月 | 5:30 ~ 18:30 | |
10月 | 6:00 ~ 17:30 | 8:30 ~ 17:00 |
11月 | 6:30 ~ 17:00 | |
12月 〜 1月 | 7:00 ~ 17:00 | |
2月 | 7:00 ~ 17:30 | |
3月 | 6:30 ~ 18:00 |
高松城最大の魅力は、なんといっても天守台から望む圧倒的な絶景です。現在は天守は失われていますが、石垣で築かれた天守台に登ると、瀬戸内海と一体化した美しい水城の全貌を一望できます。海水を直接お堀に引き込んだ独特の景観は、まさに「海に浮かぶ城」の名にふさわしく、訪れる人々を魅了し続けています。
高松城は今治城(愛媛県)、中津城(大分県)と並ぶ「日本三大水城」の筆頭格として知られています。水城とは、海や湖に面して築かれ、水を防御に活用した城郭のことで、特に高松城は瀬戸内海の海水を三重のお堀すべてに引き込んだ、日本最大規模の海城として高く評価されています。天守台からは、この壮大なスケールの水城構造を実際に目で確かめることができます。
現在の天守台は、2006年から2013年(平成25年)にかけて大規模な石垣修復工事が行われ、安全に登れるよう整備されています。かつて三層三階の天守が建っていた石垣は、今も当時の威厳を保ち続けており、天守復元への期待も高まっています。
高松城の桜御門は、2013年(平成25年)に約130年ぶりに復元された高松城の正門です。明治時代の廃城令により失われていましたが、発掘調査や古写真、文献資料を基に、江戸時代の姿を忠実に再現して蘇りました。
復元工事では、伝統的な木組み技法や当時と同じ材料を使用し、釘を使わない継手・仕口による組み立てなど、江戸時代の匠の技術が現代に受け継がれています。特に、重厚な木造の櫓門としての威厳ある佇まいは、城の正門にふさわしい格式の高さを感じさせます。
復元されたばかりの美しい門構えは、訪れる人々を江戸時代の城郭世界へといざなう、まさに時空の入り口のような存在です。
高松城の月見櫓は、1676年(延宝4年)に築造された三重三階の現存櫓で、国の重要文化財に指定されている貴重な建造物です。約350年という長い歳月を経ても美しい姿を保ち続けており、天守が失われた現在では高松城のシンボル的存在として多くの人に愛されています。
月見櫓はもともと北の丸の最北端に位置し、瀬戸内海からの敵船を監視する海上防衛の要としての役割を担っていました。その名の通り月見を楽しむための風雅な建物としても使われていたとされ、実用性と美しさを兼ね備えた江戸時代の建築技術の粋を感じることができます。
現在は毎週日曜日の 9:00~12:00・13:00~15:00 に内部が一般公開されており、木造建築の構造や当時の建築技法を間近で見学できます。
高松城の水手御門は、月見櫓の南側に位置する全国でも類を見ない珍しい門です。この門の最大の特徴は、海に向かって直接開かれていることで、文字通り「水の手」つまり海への出入り口として機能していた海城特有の城門です。現存する海の大手門としては日本で唯一の貴重な遺構となっています。
江戸時代、この水手御門は高松藩主専用の船着き場として重要な役割を果たしていました。藩主が参勤交代で江戸へ向かう際や、江戸から帰国する際には、この門から小舟に乗船し、沖に停泊した大きな御座船へと向かいました。まさに海城ならではの格式ある「海の玄関口」でした。
現在も毎週日曜日の 9:00 ~ 15:00 に門が開扉され、当時の藩主と同じように海に向かって開かれた門を体験できます。門をくぐって海側を眺めると、400年前の城主たちが見ていた光景に思いを馳せることができる、高松城でも特に感動的なスポットの一つです。
披雲閣は、1917年(大正6年)に松平家の別邸として建てられた格調高い建造物で、現在は迎賓館として利用されています。木造平屋建ての本格的な和風建築でありながら、大正時代らしいモダンな要素も取り入れられた貴重な近代和風建築として、多くの建築愛好家からも注目を集めています。
建物の周囲に広がる日本庭園は、黒松を中心とした緑豊かな和の風景が美しく広がっています。色とりどりの花々が咲き誇る季節には、特にツツジなどの花木が庭園を華やかに彩り、日本の伝統的な庭園美を存分に楽しむことができます。枯山水の手法を用いた枯川や、庵治石で作られた石橋などの石造物が配置され、歩くたびに異なる景色を楽しめる回遊式庭園として設計されています。
披雲閣は現在も結婚式や茶会などの会合に利用されており、格式ある和の空間での特別な体験が可能です。建物内部は通常非公開ですが、年始と5月5日の開園記念日には一般公開され、釘を使わない伝統的な建築技法や、繊細な装飾が施された襖絵なども間近で鑑賞できます。高松城の武骨な石垣や櫓とは対照的な、優雅で洗練された文化的側面を感じられる貴重なスポットです。
日程 | 公開内容 |
---|---|
1月1日 〜 3日 | 年始無料開放期間 |
5月5日 | 玉藻公園一般開放記念無料開放日 |
高松城の最大の魅力の一つが、城のお堀で楽しめる鯛のエサやり体験「鯛願城就(たいがんじょうじゅ)」です。瀬戸内海の海水を直接引き込んだお堀には、真鯛をはじめとする海の魚たちが悠々と泳いでおり、全国でも珍しい「城で海の魚にエサをやる」という貴重な体験ができます。
エサやり体験は1回100円で、専用のガチャガチャでエサを購入してお堀の魚たちに与えることができます。エサを水面に投げ入れると、大小さまざまな鯛が水面近くまで集まってきて、その迫力ある光景に子どもから大人まで歓声が上がります。特に家族連れには大人気で、お子様にとっては生きた海の魚と触れ合える貴重な自然体験となっています。
この体験は海城という高松城の特性を活かした、まさに「高松城ならでは」のアクティビティです。海外からの観光客にとっても、日本の城で海の魚と触れ合うという驚きの体験として非常に人気が高く、SNSでも頻繁に投稿される高松城の代表的な魅力となっています。
高松城では、木造船「玉藻丸」に乗って内堀を巡る城舟体験が提供されています。陸上からでは見ることのできない水上からの城郭美を堪能できる、日本三大水城ならではの特別なクルーズです。
運航期間は 3 月から 11 月まで(12月~2月は休止)で、乗船記念品や貸出衣装、鯛のエサも付いてくるお得なセットです。事前予約は不要で、当日受付で申し込むことができます。
船上からは陸上では体験できない独特の視点で高松城を楽しむことができます。水面から見上げる石垣の迫力や、海城として設計された城の構造美を実感できるのは、まさに船旅ならではの魅力です。特に船頭さんによる城の歴史や見どころの解説も聞けるため、高松城への理解がより深まる充実した体験となっています。
1便 | 2便 | 3便 | 4便 | 5便 | 6便 | 7便 | 8便 | 9便 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
10:00 | 10:30 | 11:00 | 11:30 | 13:30 | 14:00 | 14:30 | 15:00 | 15:30 |
区分 | 料金 |
---|---|
大人(高校生以上) | ¥500 |
子ども(5歳以上) | ¥300 |
桜の馬場は高松城内で最も美しい桜のお花見スポットです。城内には約 76 本の桜(主にソメイヨシノ)が植えられており、例年 3 月下旬から 4 月上旬にかけて満開を迎えます。天守台を背景に咲き誇る桜の風景は、高松城の春を代表する絶景として多くの花見客に愛されています。
桜の見頃時期には、毎年桜見物夜間無料開放が実施されます。期間中(例年3月28日〜4月6日)は 17:30 〜 20:00まで桜の馬場が無料で開放され、約150個のぼんぼりが桜並木を幻想的に照らし出します。昼間とは全く異なる夜桜の美しさを楽しむことができ、春の宵をゆったりと過ごせる特別な時間となります。
桜の馬場という名前の通り、かつては馬場として使われていた広い空間で、現在は多くの人がレジャーシートを敷いてお花見を楽しんでいます。高松市中心部にありながら、城内という静かで落ち着いた環境でのお花見は格別で、家族連れやグループでの花見には最適なスポットです。
毎年5月頃に開催される高松城まつりの目玉イベントとして、最新のプロジェクションマッピング技術を使った仮想天守閣ライトアップが行われます。1884年(明治17年)に解体された幻の天守閣が、現代の技術によって夜空に美しく蘇ります。
天守台に設置された特殊な機材から放たれる光が、かつてそこに建っていた天守の姿を立体的に映し出し、まるで本物の天守が存在するかのような幻想的な演出を楽しむことができます。イベント期間中は屋台なども出店され、地元グルメと共に特別な夜を過ごせます。
このイベントは、失われた文化遺産を現代技術で復活させる新しい試みとして注目を集めています。江戸時代の高松城の威容を現代に蘇らせる感動的な演出として、歴史ロマンと最新技術が融合した高松城ならではの特別な体験を提供しており、多くの人々に感動を与え続けています。
項目 | 詳細 |
---|---|
開催日時 | 5月9日(金)17:00 〜 21:00 5月10日(土)・11日(日)10:00 〜 21:00 |
場所 | 玉藻公園(入場無料) |
公式サイト | https://takamatsujyo.net/ |
高松城の歴史は、1588年(天正16年)に豊臣秀吉の家臣である生駒親正によって築城が始まったことから始まります。瀬戸内海の海水を直接お堀に引き込む画期的な海城として設計され、当時としては非常に先進的な城郭でした。生駒氏は 4 代 54 年間にわたってこの城を居城としましたが、1640年(寛永17年)に生駒騒動と呼ばれる家臣団の内紛により改易となり、出羽国矢島(現在の秋田県)へ転封されました。
1642年(寛永19年)、水戸黄門として知られる徳川光圀の兄である松平頼重が東讃岐12万石の領主として高松城に入城しました。松平頼重は城の大規模な改修を行い、1670年(寛文10年)には小倉城を模した三重五階の天守を完成させました。その後、松平氏は11代228年間にわたって高松城を居城とし、この間に現在も残る月見櫓や水手御門などの重要文化財が建造されました。
興味深いことに、高松城は築城から廃城まで一度も戦火を経験していない平和な城です。1868年(慶応4年)の鳥羽・伏見の戦いの際も、松平家が新政府に恭順したため戦うことなく開城し、明治維新を迎えました。その後、多くの建造物が取り壊されましたが、現在も重要文化財として残る建造物や石垣が、400年以上にわたる高松城の歴史を静かに物語っています。
高松城築城開始 | |
生駒騒動、生駒氏改易 | |
松平頼重入城 | |
三重五階天守完成 | |
明治維新、開城 |
高松城は、瀬戸内海の海水を直接お堀に引き込んだ日本三大水城の筆頭として、歴史ロマンと革新的な体験が見事に融合した唯一無二の城郭です。
350年現存する月見櫓の重厚な建築美から、美しく復元された桜御門、全国唯一の海の大手門である水手御門まで、異なる時代の魅力を一度に楽しめます。天守台からの絶景では、かつての三重五階天守の威容を想像しながら、水城特有の壮大なスケールを実感できます。
城のお堀で海の魚にエサをやる「鯛願城就」、和船で巡る内堀クルーズ、最新技術による仮想天守閣ライトアップなど、伝統と革新が調和した高松城ならではの体験も充実。単なる歴史見学を超えた「参加型の城郭体験」が、訪れる人々を魅了し続けています。
高松駅から徒歩3分という抜群のアクセスで、400年の歴史が息づく海城文化を心ゆくまで堪能できる高松城。瀬戸内海と一体化した美しい水城の風景と、他では味わえない海城体験が待つ、まさに「美しき水の城」です。
歴史散策とユニークな体験が楽しめる日本屈指の水城、高松城へ。ぜひ足を運んでみてください。
もっと詳細に高松城の雰囲気を知りたいときは、こちらの記事がおすすめです。