高松城を歩く|日本三大水城の美しさを現地体験レポート

最終更新日:

高松城を歩く|日本三大水城の美しさを現地体験レポート

高松城、水城の美しさを現地で体験!城郭散歩に出かけよう

JR高松駅から僅か徒歩3分、高松市中心部にありながらそこには、瀬戸内海の海水に囲まれた幻想的な城郭空間が広がります。日本三大水城の筆頭として名高い高松城は、海とつながる水堀という他に類を見ない美しさで人気の観光スポットです。

本記事では実際の訪問時の、高松城・玉藻公園の様子を写真多めでお伝えします。現地の空気感や、高松城の雰囲気が伝われば幸いです。

なお、高松城の見どころについて知りたい場合は、以下の記事を参照ください。

高松城の見どころについて詳しく見る

西門からの入城!

高松城には、西門と東門の 2 つから入城できます。駅に近いのは西門で、JR高松駅から徒歩 3 分、ことでん高松築港駅からは徒歩 1 分で到着できます。

高松城西門の石垣と案内板のある入口風景

西門の重厚な石垣が、城郭への期待感を高めてくれます。

高松城西門の料金所付近に立つ門柱と正門の様子

入園料は現在200円(2026年4月1日より400円に改定予定)という手頃な価格設定。

高松城西門の料金所とチケット販売エリア 高松城の写真が印刷された入園券のアップ

料金所でいただく入園券には、艮櫓(うしとらやぐら)の美しい写真がデザインされ、散策への期待が膨らみます。当日1回限り有効のこの券が、高松城への入場証となります。

最終防衛ライン「鞘橋」を渡って本丸へ

高松城の石垣沿いに整備された天守台跡への通路

天守台への道のりは、西門右手に公園として整備されている二の丸跡を眺めながら進みます。ベンチや喫煙所も設置されており、ゆったりとした散策が楽しめます。

高松城の本丸に続く屋根付き木造の鞘橋の全景

二ノ丸から本丸へと続く唯一の動線、鞘橋(さやばし)。この屋根付きの美しい木造橋は、高松城築城当時から同じ位置に架けられており、かつては「らんかん橋」と呼ばれていました。江戸時代に屋根が付けられ、現在の姿となりました。

高松城の石垣沿いに架かる鞘橋内部の通路の様子

鞘橋は本丸への唯一のルートであるため、敵の侵入時にはこの橋を落とすことで本丸だけを独立して守ることができる、まさに最終防衛ラインとなる重要な橋です。

鞘橋の内部から見た左側の水堀の景色

橋の左手には、透明度の高い水堀が静かに広がります。瀬戸内海の海水を直接引き込んだ水面は、時間帯によって表情を変え、訪れる度に新しい発見があります。

鞘橋から見える水堀越しの高松築港駅のホーム

鞘橋からは、琴平線の高松築港駅のホームが水堀越しに見え、現代と歴史が共存する高松城ならではの風景を楽しむことができます。

鞘橋の左側に広がる水堀と石垣の眺望 鞘橋の外から見た左手側の水堀と石垣の風景

水面に映る空の色と石垣の織りなす美しいコントラストは、まさに水城ならではの絶景です。

鞘橋を天守台に向かって歩く様子

橋を渡り切ると、いよいよ本丸、天守台へ。期待が高まる瞬間です。

本丸、天守台へ

鞘橋を渡った先にある高松城の大きな石垣

鞘橋を渡り切ると、目の前に立ちはだかる巨大な石垣。その迫力ある姿に、かつてここに建っていた三重五階の天守への想像が膨らみます。

石垣沿いに整備された木陰の小道を天守へ向かって進む様子

天守台への道は木陰に覆われた美しい小径が続きます。石垣の威厳と緑の優しさが調和した、心地よい散策路です。高松城には黒松が多く見られますが、松の鮮やかな緑と青空とのコントラストがとても気持ち良いです。

天守台跡へ向かう並木道と石垣の風景

高松城には、天守閣は残っていません。しかし天守台が展望デッキとして整備されており、ここから水城最大の美を目の当たりにできます。高松城観光のハイライトです。

木々に囲まれた高松城天守台跡の正面風景

石段を一歩一歩上がるごとに、かつてここに威風堂々と建っていた天守へ想像が掻き立てられます。

高松城天守台跡に設置された展望デッキへ続く石段と石垣

天守台内部には、当時の天守地下一階の遺構がそのまま残されています。整然と並ぶ礎石を見ていると、計器類など無かったであろう400年前の匠の技術力に感嘆せずにはいられません。

天守台跡に残る高松城天守地下一階の石組みと基礎部分 天守閣跡に残された石垣と天守の礎石が並ぶ様子 石垣に囲まれた高松城天守台内部の遺構と礎石の配置 高松城天守跡に並ぶ複数の礎石と石垣に囲まれた空間

詳細な解説パネルが設置されており、天守の構造や歴史を深く理解することができます。

高松城天守台跡に設置された構造図付きの解説パネル

展望デッキは高さがありますが、手すり付きで安全に整備されていますので安心して景色を楽しめます。

手すり付きで安全に整備された高松城天守台の展望デッキ 高松城天守台の展望デッキと足元に残る天守の礎石 高松城の展望デッキから水堀を一望できる眺望スポット

絶景!豊かな水に囲まれた美しき城の風景

高松城の展望デッキから見下ろす水堀と緑の島の絶景

展望デッキからの眺めはまさに圧倒的です。日本三大水城の名にふさわしい、水と空が一体化した壮大なパノラマが眼下に広がります。この瞬間こそ、高松城のハイライトです。

水面に空が映り込む高松城の水堀と周囲の緑豊かな風景 晴天の空と水堀が美しく調和した高松城の景観

海とつながる城の内堀へ

高松城の内堀は、海城としての特性を最も感じられる場所です。

石垣に囲まれた高松城の水門と穏やかな水面に浮かぶ小舟

水面に浮かぶ「玉藻丸」は、城舟体験として実際に内堀遊覧ができる和船です。

そして水中には、鯛をはじめとする海の魚たちが悠々と泳いでおり、鯛のエサやり体験ができます。お堀に海の魚がいる城は、全国でも稀です。

鯛が泳ぐ高松城の水門と乗船場の木製ステップ

また、ここでは江戸時代、水練(水泳訓練)が行われていたという興味深い歴史もあります。

玉藻丸乗船場と並べられたベンチがある水辺の広場

350年の時を超えた重要文化財たち

石垣と門に囲まれた小道の奥に続く黒松の並木道

内堀を超えて進むと、現存する櫓や門 3 つがあります。その全てが重要文化財です。

渡櫓

渡櫓は、高松城に現存する貴重な江戸時代建築の一つです。白壁と黒瓦が美しいコントラストを描く、格調高い佇まいが印象的です。

高松城の石垣上に建つ白壁と屋根を持つ渡櫓の外観 石垣の上に建てられた高松城の渡櫓とその前の階段通路

渡櫓の石垣には、生駒家から松平家へと城主が変わった歴史が刻まれています。右側の野面積みと左側の打込接という異なる積み方を比較することで、400年にわたる高松城の歴史を実感することができます。

石垣の積み方の違いが示された継ぎ足し部分と案内板

水手御門

水手御門は、全国でも類を見ない海に向かって開かれた城門です。船からこの門を経て直接城内へ入ることができた、海城ならではの特別な構造になっています。

石垣に囲まれた通路の奥にある水手御門の正面全景 屋根付きの水手御門を正面から見た木造門構え 水手御門の扉に取り付けられた金属製の鍵構造のクローズアップ

月見櫓

月見櫓は、約350年前に建造された三重三階の現存櫓です。重要文化財に指定されたその美しい姿は、あらゆる角度から眺めても飽きることがありません。

青空を背景にした三重三階の高松城月見櫓の外観 石垣の上に立つ月見櫓を横から見上げた構図 月見櫓の屋根の重なりと細部の装飾が見える斜めアングル 高松城月見櫓の白壁と石垣が際立つ外観の正面寄りアングル 石垣の上に整然と建つ月見櫓と補強用の木柵 案内板と説明資料が設置された月見櫓下の石垣前

月見櫓からは瀬戸内海の美しい眺望が楽しめます。かつて藩主たちも愛でたであろう、この穏やかな海の風景に心が癒されます。

月見櫓近くから見渡す瀬戸内海と遠くに見える島々の風景 月見櫓の前から望む青空と海岸線の開けた風景

披雲閣の大正ロマンと、鮮やかな日本庭園

生垣と黒松に挟まれた整備された砂利道の外周通路

月見草や内堀に隣接する三の丸には日本庭園が広がり、その中に「披雲閣(ひうんかく)」があります。

披雲閣(旧松平家高松別邸)

披雲閣は、1917年に松平家の別邸として建てられた格調高い建造物です。重要文化財に指定されており、大正時代の優雅な和風建築の美しさを楽しめます。

松の木に囲まれた和風建築の披雲閣を正面から見た外観 のれんが掛かった披雲閣の玄関と松の植栽に囲まれた入口

木造建築の美しい梁組みや、畳敷きの落ち着いた内部空間からは、大正時代の洗練された文化を感じることができます。

木製の屋根と梁が美しい披雲閣の玄関庇と松の枝 披雲閣玄関から見える畳敷きの和室と広間の内部空間 縁側から庭園を望む披雲閣槇の間の外観と木製建具 槇の間から見える槇の木と整えられた飛び石の庭 披雲閣の建物と槇の木に囲まれた庭園の景色

大書院

披雲閣で最も広く、142畳もある大書院の内部空間は圧巻です。柱と障子が作り出す幾何学的な美しさに、日本建築の粋を感じることができます。

大書院の縁側から見える庭園とガラス戸越しの柱の構造 畳が敷かれた大広間の室内と開放感ある建築空間 披雲閣大書院内部の柱と障子に囲まれた和室の全景

銀閣寺型手水鉢

披雲閣には、京都の銀閣寺にある手水鉢を模した「銀閣寺型手水鉢」が設置されています。

和風庭園の石組みの中に設置された銀閣寺型の大型手水鉢

幅・奥行き約 1.5m、高さ約 2m、重さ約 11 トンという巨大な手水鉢の存在感は圧巻。しかしながらどこか侘び寂びを感じるのは、周囲の景観も含め和の風景を感じるからだと思います。

水が張られた円形のくぼみと筧のある銀閣寺型手水鉢の天面 披雲閣庭園にある重厚な銀閣寺型手水鉢と周囲の緑

内苑御庭(日本庭園)

高松城三の丸には内苑御庭があり、静寂に包まれた日本庭園が広がります。

松の木と生垣が美しく整えられた披雲閣庭園の小道 和風建築に沿って敷かれた飛び石と松に囲まれた庭 披雲閣の建物沿いに配された松と飛び石の風景

手入れの行き届いた庭園では、松を中心とした植栽が美しく配置されています。飛び石を辿りながらの散策は、日本庭園の奥深い美しさを堪能できる贅沢な時間です。

青空の下で緑に囲まれた披雲閣大書院側の広い庭園 美しい庭木と芝生が整備された大書院前の庭園風景 庭園越しに見える披雲閣大書院の建物と黒い瓦屋根

大書院側の庭園は特に開放感があり、青空と緑のコントラストが美しい空間となっています。

剪定された松や槇の木が並ぶ披雲閣庭園の小道と建物 石畳の小道と整えられた生垣に囲まれた和風庭園の一角 広々とした芝生と庭木が調和する披雲閣庭園の風景 生垣と灯籠のある小道が続く披雲閣庭園の奥まった一角

庭園内は、石畳、芝生、生垣、灯籠といった様々な要素が調和した、完成度の高い日本庭園になっています。

青空の下に広がる石畳と高く伸びた黒松に囲まれた庭園の景観 密集する黒松と刈り込まれた植栽が織りなす深緑の空間 黒松の枝ぶりと生垣に囲まれた披雲閣庭園の落ち着いた風景 説明板と石碑が設置された黒松に囲まれた静かな一角

威風堂々!高松城の正門「桜御門」

2022年6月に復元が完成した桜御門は、1945年(昭和20年)の高松空襲で失われてから77年ぶりに蘇った、高松城の正門です。

二階櫓が乗る重厚な構えの桜御門を下から見上げた全景

二階櫓を持つ堂々とした門構えは圧巻で、復元とは思えないほどの威厳と美しさです。白壁と黒瓦、そして青空のコントラストが絶妙です。

青空を背景にした桜御門の白壁と瓦屋根のコントラスト 開かれた門越しに城内が見える桜御門の斜め構図 金属製の鋲が打たれた桜御門の扉板のクローズアップ

扉に打たれた金属製の鋲一つ一つにも、江戸時代の伝統技法が忠実に再現されています。

木組みの美しい構造が見える桜御門の内部天井 高松城桜御門の木組み梁と太い桁が交差する内部構造

高松城の桜後門は、現代の技術で江戸時代の匠の技を完璧に再現した、文化財復元の傑作です。

石垣に囲まれた高松城桜御門の復元正面と鮮やかなのれん

高松駅から3分の城郭散歩。豊かな水に囲まれた美しき古城「高松城」へ

海水に囲まれた城という独特の立地が生み出す景観と、400年の歴史が刻まれた建造群。高松城には天守閣こそ無いものの、玉藻公園全体で歴史や景観美を楽しめます。

渡櫓と月見櫓。櫓の白と松の緑、青空とのコントラスト

天守台からの絶景、現存する重要文化財の建築美、復元された桜御門の完璧な美しさ、そして披雲閣と庭園での静寂のひととき。都市部にありながら、これほど多彩で上質な城郭体験ができる場所は稀有な存在です。

JR高松駅から徒歩3分というアクセスの良さも含め、瀬戸内海の美しい海水に囲まれた水城の魅力を、ぜひ実際に歩いて感じてみてください。

天守閣跡から見下ろした水城の景色と広がる空の開放感ある風景

高松城の見どころを知りたいときは、以下がおすすめです。

あわせて読みたい: