日本神話の社・青島神社を歩く|宮崎の海に浮かぶ人気神社を現地レポート

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日本神話の社・青島神社を歩く|宮崎の海に浮かぶ人気神社を現地レポート

海と緑に包まれた青島神社を、歩いてめぐる現地レポート

宮崎市の海沿いにある小さな島・青島。その中央に鎮座する青島神社は、海と亜熱帯植物に囲まれた、全国でも少し珍しいロケーションの神社です。

この記事では、実際に参拝したルートに沿って、青島神社の雰囲気を現地レポートとしてお伝えします。

アクセスの詳細や見どころについては、以下をご覧ください。

青島神社の見どころについて詳しく見る

青島神社へのアクセス方法について詳しく見る

弥生橋から鬼の洗濯板へ:海を渡って島の入口へ

青島神社へは、まず本土側から「弥生橋」を渡って島に向かいます。ここが参拝のスタート地点です。

青島へ続く弥生橋を正面から見た景色 海と空が広がる開放的な眺め 青島へ向かう弥生橋の上から島を望む風景 白い欄干と広い海が続く道

橋の上は眺望が開けていて、左右を見れば海と空が広がります。足元には波の音、正面には青島のシルエット。

青島の海岸線と波の様子が見える風景 鬼の洗濯板が海に沿って広がる

橋を渡り切ると、海岸線沿いに独特の岩場が広がっているのが見えてきます。これが、青島周辺の象徴的な景観「鬼の洗濯板」です。

青島周辺に広がる鬼の洗濯板の岩肌 海に向かって規則的な岩が並ぶ様子 青島の海岸に続く鬼の洗濯板の広がりと海の景色 光を受けた岩の凹凸が特徴的 砂浜近くに広がる鬼の洗濯板の岩場が立体的に続く様子 自然が作り出した独特の地形

板を並べたような岩が一方向にびっしり並んだ光景は、写真で見る以上に印象的です。潮の満ち引きや光の具合によって見え方も変わるため、時間帯を少し変えて眺めるのもおすすめです。

島側に進むと、青島神社の碑が参拝者を迎えてくれます。

青島神社の碑と案内板が立つ入口付近の風景 周囲に植物が茂り海風を感じる場所 青島神社の石碑を正面から撮影した写真 背後には熱帯植物が生い茂る

このあたりから、海辺の風景に亜熱帯の植物が混じり始め、「島全体が境内」という雰囲気が少しずつ濃くなっていきます。

砂浜から鳥居へ:海辺から始まる参道

青島神社の特徴のひとつが、砂浜から始まる参道です。海岸線を進むと、白い砂浜の向こうに朱色の鳥居が見えてきます。

青島神社へ続く参道の先に朱色の鳥居が立つ風景 海と岩場が左右に広がる 青島神社の朱色の鳥居を近くから撮影した様子 背景に海と鬼の洗濯板が見える

海の青、砂浜の白、鬼の洗濯板の岩肌、その中に立つ朱色の鳥居。実際にその場に立つと、「海岸線と神社の入口がほぼ地続き」という不思議な感覚があります。

鳥居をくぐり、砂の参道を進むと、島の内部へとつながる境内入口に至ります。

青島神社の境内入口 石像と木々に囲まれた参道が続く神聖な雰囲気

振り返ればすぐそこは海という位置関係で、「海辺の散策」と「神社参拝」が自然に連続しているのが青島神社らしいところです。

天の御柱めぐり:青島ならではの縁結びスポット

境内に入って最初に目に入るのが、縁結びのスポットとして知られる「天の御柱めぐり」です。

青島神社の天の御柱めぐり ハート型の枠に多くの絵馬が結ばれ海と空が広がる風景

古事記に登場する夫婦神の神話をもとにしたスポットで、男女がそれぞれ決められた側からハート型の枠に入り、中央で向かい合って古語の言葉を唱えると恋愛成就を祈れる、というものです。

赤いハート型の枠に絵馬が掛けられた天の御柱めぐりの様子 背後に青島の海が広がる

海を背景にしたハートのモチーフは写真映えだけでなく、青島神社の縁結び信仰を象徴する場所にもなっています。カップルはもちろん、友人同士や家族で訪れても記念になるスポットです。

茶房檳榔樹と日向神話館:休憩と学びの拠点

天の御柱めぐりの向かい側には、休憩処「茶房檳榔樹」と「日向神話館」が並んでいます。参拝の途中で一息つきたいときには、茶房檳榔樹の軽食メニューがちょうど良い選択肢です。

青島神社にある茶房檳榔樹と日向神話館の建物全景 落ち着いた外観と南国植物が並ぶ 茶房檳榔樹の脇にあるイートインスペース 食事ができるテーブルと木製の仕切りが並ぶ屋外の休憩場所

古代の乳製品「蘇」を使った甘乳蘇ソフトクリームといった、ここならではのメニューも用意されています。冷たいものを片手に、青島の風を感じながら休憩できるのが魅力です。

隣にある日向神話館では、日向神話の世界が人形などで再現されており、宮崎一帯に伝わる物語に触れられます。青島神社と神話との関係をより深く知りたい方に向いた施設です。割引券が公式サイトで配布されています。

授与所で出会う御朱印・お守り・おみくじ

境内の参道沿いには授与所があり、御朱印やお守り、おみくじなどを授かることができます。

青島神社の社務所前に並ぶ御朱印やお守りの授与所 案内板と授与品の展示が見える 授与所カウンターに並ぶ御朱印帳やお守りの展示 多彩なデザインが整然と並んだ様子 青島神社の授与所にある多種多様なお守りが並ぶ棚 カラー豊富な授与品が整列している 青島神社のおみくじの引き出しが並ぶ棚 数多くの木製引き出しと授与品が置かれた様子

お守りは色やデザインのバリエーションが豊富です。まずはここで一般的なおみくじを引き、そのうえで、後述する「体験型のおみくじ」を楽しむという流れもおすすめです。

南国の参道と拝殿:朱色と緑が重なる境内

拝殿へ向かう参道は、青島神社の雰囲気を象徴するエリアのひとつです。亜熱帯植物に囲まれた道の先に、朱色の門が続きます。

熱帯植物に囲まれた参道の先に朱色の門が見える南国風の青島神社の風景

一般的な神社とは異なり、ヤシの木などの南国らしい植物が背景にある特徴的な景色に出会えます。

門をくぐる前に、手水舎で身を清めてから拝殿方向へ進みます。

石の水盤と柄杓が置かれた青島神社の手水舎 熱帯植物に囲まれた清め場 朱色の鳥居と門が連なる拝殿への入口 周囲に南国植物が茂る青島神社 拝殿へ続く朱色の門を見上げた構図 木々の緑と門の朱色が鮮やかに映える 青島神社の拝殿に続く大きな朱色の門を下から見上げた様子 装飾と木組みが際立つ

こちらが青島神社の拝殿です。

青島神社の拝殿を正面から撮影した様子 広い参道と左右に並ぶ社殿が見える 拝殿の細部が分かる近距離の風景 朱色の柱と精巧な装飾が目を引く 青島神社拝殿の屋根と彫刻を見上げた写真 青空の下で朱色と金色の装飾が際立つ

まずはここで、ゆっくりと手を合わせましょう。その先には、さらに森の奥へと続くルートが待っています。

祈りの古道:絵馬に囲まれた静かな小径

拝殿の右手へ進むと、「祈りの古道」と呼ばれる参道が現れます。

赤い門の奥に絵馬が連なる祈りの古道の入口 周囲に緑が生い茂る参道の風景 祈りの古道の入口を正面から撮影した様子 絵馬が奥まで並びトンネル状に続く光景

「祈りの古道」は、両側と頭上を無数の絵馬が覆う小道で、願い事や感謝の言葉が形になって連なった空間です。

無数の絵馬が頭上と両側を埋め尽くす祈りの古道の通路 緑の中に続く神秘的な空間 絵馬が立体的に並び奥へと伸びる祈りの古道の様子 木漏れ日が差し込む神秘的な小道 祈りの古道の中心付近から撮影した風景 絵馬が隙間なく吊り下げられ幻想的な雰囲気 頭上まで覆うように絵馬が並ぶ通路 緑の葉と木々が背景に広がる祈りの古道の景色 密集した絵馬が続く祈りの古道の通路 木々の緑と光が差し込む印象的な風景 絵馬が重なり合うように吊り下がる祈りの古道の様子 自然光が入り込む参道 祈りの古道の奥へと続く道 絵馬のトンネルと周囲の森が作り出す独特の雰囲気 祈りの古道から拝殿側を振り返った景色 絵馬の間から朱色の社殿が見える 祈りの古道の出口付近から拝殿方向を撮影した様子 絵馬と朱色の建物が印象的に並ぶ 祈りの古道の終点付近 無数の絵馬が左右に並び緑の中へ続く小道が見える

絵馬は、もともと高価な神馬の奉納に代わって、馬の絵を描いた板を納めたことが始まりとされています。今では、願い事や成就のお礼の言葉をしたためて掛けることで、神様に思いを伝える役割を持つようになりました。

青島神社では、元宮へ続く参道沿いに絵馬掛けが設けられていて、恋愛成就や家族の健康、旅の安全など、さまざまな祈りがこの小径に集まっています。

静かな通路を歩きながら、一枚一枚に込められた思いに想像を巡らせる時間も、青島神社ならではの体験です。

御成道と元宮:亜熱帯の森の奥にある古い信仰の場所

祈りの古道を抜けた先には、「御成道(おなりみち)」と呼ばれる小道が約60mほど続きます。ここは青島神社の中でも、特に自然に包まれたエリアです。

亜熱帯植物に囲まれた御成道の参道がまっすぐ続く静かな小道 青島特有の濃い緑に包まれた御成道の風景 木々が生い茂る南国の小径 高く伸びた亜熱帯植物の樹冠越しに光が差し込む御成道の景色 木漏れ日が広がる亜熱帯植物の森を見上げた風景 御成道の神秘的な雰囲気 太陽の光が密集した樹々に反射する御成道の森を見上げた様子

頭上を覆うビロウ樹の葉の隙間から光が差し込み、海辺とはまた違う静けさがあります。島の外周から徐々に中心へ向かっていく構造が、そのまま信仰の深まりを表現しているようにも感じられるエリアです。

そして、御成道を抜けた先に現れるのが、青島信仰の原点とされる「元宮」です。

御成道の先に朱色の元宮が現れる風景 緑の森の中に佇む鮮やかな社殿 朱色の社殿が森の中に建つ元宮 狛犬が参道の両側に並ぶ神聖な空間

元宮は青島のほぼ中央、古くから祭祀が行われてきた場所に建つ社殿です。この周辺の地中からは弥生時代の宗教的な儀式に使われたと考えられる土器や骨、貝殻などが出土しており、少なくとも千年以上前から信仰の舞台になっていたとされています。

江戸時代には、病気平癒などを願う人々がここで祈りを捧げ、信仰の証として髪の毛を残していったとも伝えられています。現在は、髪ではなく紙縒りを木や縄に結び付けて願いを託す形に姿を変え、伝統が受け継がれています。

20世紀に入ると皇太子時代の大正天皇をはじめ、多くの皇族がこの元宮を訪れたことから、より広く知られるようになりました。もともとは神職と皇族だけが立ち入れた特別な領域でしたが、1960年代の終わり頃から一般の参拝者も足を踏み入れられるようになったとされています。

元宮の境内にある狛犬の石像を近距離から撮影した様子 迫力ある表情が印象的 元宮の敷地に置かれた石組みと貝殻のお供え 古代信仰の名残を感じる場所 貝殻が積まれた石台の様子 願いを込めて供えられた真砂の貝が重なる元宮の風景

青島は、隆起した海床の上に無数の貝殻が堆積して生まれた島で、「真砂島」とも呼ばれてきました。古くから人々は浜辺の砂や貝に特別な意味を見いだし、自分の気持ちを重ねて和歌に詠むこともあったそうです。

青島では、とくにタカラガイが大切な「真砂」とされてきました。いまも参拝のあとに浜辺で貝を選び、願いを込めて元宮そばの波状岩にそっと供える習わしが続いています。長い時間をかけて積み重なっていく貝殻の山は、この場所に寄せられた祈りの積み重ねそのものです。

元宮の朱色の社殿と亜熱帯植物の緑が対照的に広がる印象的な風景

体験型のおみくじ:賽の目神事・御魂神事・鯛みくじ

青島神社には、通常のおみくじに加えて、少しユニークな「体験型のおみくじ」がいくつか用意されています。参拝後の楽しみとして、余裕があればぜひ立ち寄りたいスポットです。

賽の目神事:サイコロで「いま大切なテーマ」を知る

賽の目神事の案内と台が並ぶ様子 賽を振る場所と説明書きが配置されている

賽の目神事は、「教えたまえ、導きたまえ」と心の中で唱えながら、専用のサイコロを振るおみくじです。

木製の賽に身学金縁交厄の文字が刻まれた賽の目神事のサイコロ

出目は数字ではなく、「身」「学」「金」「縁」「交」「厄」といった文字。健康や学業、金運、人との縁、交通安全など、自分がどのテーマに意識を向けるとよいかを知るきっかけになります。

賽の目神事の手順が書かれた案内板と台の様子 投じ方と意味を示す説明が並ぶ

簡単な手順で試せるため、初めて訪れる方でも挑戦しやすいおみくじです。

御魂神事:ピンボール型の盤で運勢を占う

黄色い枠で囲まれた御魂神事の台が並ぶ様子 青と白が描かれた盤面と賽が置かれている 御魂神事の装置を斜めから撮影した様子 色鮮やかな盤面と案内札が配置されている

御魂神事は、盤の上を玉(運魂)が転がっていく、ピンボールのような仕組みのおみくじです。

御魂神事の盤面を近くから撮影した写真 多くの釘に囲まれたコースに運魂の玉を転がす仕組み 御魂神事の運魂が落ちる判定部分の様子 玉の行き先に文字が並ぶ盤面

玉の行き先によって、御魂の状態や今後の指針が示されます。玉を追いかけながら見守る時間も楽しいおみくじです。

御魂神事の案内板と台が並ぶ様子 御魂の状態についての説明が掲示されている 御魂神事の解説が書かれた説明板と運勢の種類を示す一覧表が並んでいる

運魂は白い袋に入れて持ち帰ることができ、参拝後もお守りのように大切にしている人も多いようです。

鯛みくじ:釣り上げて楽しむおみくじ

鯛を釣るタイプのおみくじもあります。

赤い鯛が多数入った水槽型の箱と釣り竿のセット 鯛みくじを釣り上げるための道具が置かれている

水槽のような箱にたくさんの鯛が並んでいて、釣り竿で一匹を釣り上げるスタイルです。大人もつい夢中になってしまう仕掛けで、家族連れやグループ旅行にもよく選ばれています。

参拝前後の過ごし方:青島参道商店街とビーチエリア

青島神社は、弥生橋の手前にある「青島参道商店街」や海辺の施設も含めて、半日単位で楽しめるエリアになっています。

南国植物と白い建物が並ぶ青島参道商店街周辺の景色 緩やかな道沿いにヤシの木が立ち並ぶ 青島参道商店街の入口付近に並ぶ飲食店と看板 ソフトクリームの置物など観光地らしい雰囲気 青島参道商店街の店舗前に並ぶテイクアウトメニューの看板と食品の写真が描かれた大きなパネル 青島参道商店街の店先に並ぶ定食や軽食のメニュー看板 店舗前の通路が続く様子 歩道に埋め込まれた青島参道商店街のプレート 青島参道の表示が刻まれている 青島参道商店街の建物外観 黒い壁面とガラス扉が並ぶ落ち着いた雰囲気の施設 青島観光インフォメーションの案内看板 観光案内所の営業時間とイラストが描かれている 青島参道商店街の店AOSHIMAYAの入口 白い暖簾と黒い外壁が特徴の建物 青島参道商店街AOSHIMAYAの全景 黒い建物に白い暖簾がかかる落ち着いたデザインの店舗

商店街には、定食屋、カフェ、ソフトクリームスタンド、お土産店などが並んでいます。参拝前に軽く腹ごしらえをするもよし、参拝後にゆっくりランチを取るもよし。時間帯や混雑状況に合わせて、柔軟にプランを組み立てられます。

青島の海辺にある飲食施設AOSHIMA BEACH PARKの入口看板と南国植物が並ぶ風景

海沿いには、テラス席で食事やドリンクを楽しめる「青島ビーチビレッジ」もあり、晴れた日には海風を感じながらゆったりとした時間を過ごせます。

海と森と社殿が重なる、小さな島の神社体験

亜熱帯植物が生い茂る道が奥へと続く青島の散策路 南国らしい植物に囲まれた静かな小道

青島神社は、海岸線から砂浜の鳥居を抜け、亜熱帯の森を歩いて元宮へ向かうという、場面ごとに景色が変わっていく参拝ルートが印象的な神社です。

境内には、

  • 海辺と砂浜から続く独特の参道
  • 絵馬に囲まれた祈りの古道と、亜熱帯植物に包まれた御成道
  • 青島信仰の原点とされる元宮
  • 日向神話に触れられる資料館や、体験型のおみくじ

といった、歴史・自然・体験要素がバランスよく詰まっています。

お守りや御朱印、おみくじのデザインや仕掛けには、現代の旅行者にも分かりやすく魅力を伝えようとする工夫も感じられます。

青島神社と周辺エリアをゆっくり楽しむ場合、青島神社への参拝で1時間前後、商店街やビーチエリアでの飲食や散策を含めると、全体で2〜3時間程度がひとつの目安になります。

海と森に囲まれた小さな島の神社で、青島ならではの時間を過ごしてみてください。

絵馬がぎっしり吊るされた祈りの古道の入口 朱色の門越しに絵馬のトンネルが続く光景 青島の海岸と鬼の洗濯板が広がる風景 奥には朱色の鳥居と青い空が見える