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国際的なウイスキー品評会で、日本の銘柄が最高賞を次々と獲得しています。2023年から2025年にかけて、山崎ブランドが世界最大級の品評会ISC(International Spirits Challenge)で3年連続の最高賞を受賞。かつて「スコッチの模倣」と見られていたジャパニーズ・ウイスキーは、今や世界中のコレクターや投資家が争って手に入れようとする存在になりました。
これら華々しい栄誉を受賞し続けるまでになったジャパニーズウイスキーには、どんな魅力があり、現在に至るまでにどのような歴史を辿ってきたのでしょうか。
この記事では、ジャパニーズ・ウイスキーの基礎知識から、代表的な銘柄、2024年に全面適用された新基準まで、体系的に解説します。

ジャパニーズ・ウイスキーとは、日本国内で製造されたウイスキーの総称です。
そもそもウイスキーは、大麦やトウモロコシなどの穀物を原料に、糖化・発酵・蒸留・樽熟成を経て造られる蒸留酒です。原料や製法によっていくつかの種類に分かれます。
| 種類 | 説明 |
|---|---|
| シングルモルト | 1つの蒸留所で、大麦麦芽のみを原料に造られたウイスキー |
| ブレンデッド | 複数のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたもの |
| グレーン | トウモロコシや小麦など、大麦麦芽以外の穀物も原料に使うウイスキー |
2024年4月、日本洋酒酒造組合が定めた「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」が全面適用されました。
日本の水と麦芽を使い、日本国内で糖化・発酵・蒸留を行い、3年以上日本国内の木製樽で熟成したウイスキーだけが「ジャパニーズウイスキー」と名乗れるようになっています。
ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準 - 日本洋酒酒造組合
ウイスキーは産地によって大きく5つに分類され、「世界5大ウイスキー」と呼ばれます。
| 産地 | 名称 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| スコットランド | スコッチ | 世界最古の伝統を持つウイスキー。ピート(泥炭)によるスモーキーな香りが特徴的 |
| アイルランド | アイリッシュ | 3回蒸留による滑らかな口当たりが特徴。ウイスキー発祥の地とも言われる |
| アメリカ | バーボン / アメリカン | トウモロコシを主原料とし、新品のオーク樽で熟成。甘くバニラのような風味 |
| カナダ | カナディアン | ライ麦を多用した軽やかでマイルドな味わい。カクテルベースとしても人気 |
| 日本 | ジャパニーズ | スコッチの製法をルーツに、日本の風土と技術で独自進化。繊細で複雑な味わい |
ジャパニーズ・ウイスキーが世界5大ウイスキーの一角として広く認知されたのは、2000年代以降のことです。国際品評会での受賞が相次ぎ、世界中のウイスキー愛好家から注目を集めるようになりました。その歴史的な経緯は後ほど詳しく振り返ります。
ジャパニーズ・ウイスキーはスコッチの製法を出発点としています。では、どのような独自性を育んできたのか。次章で見ていきます。

スコッチの製法をベースとしながらも、100年の歴史の中で日本の風土と職人の工夫が加わり、3つの大きな独自性が生まれました。
ミズナラとは、日本を中心に東アジアに自生するオークの一種です。
ウイスキーの熟成樽としての歴史は、第二次世界大戦中にさかのぼります。ヨーロッパからシェリー樽を輸入できなくなったサントリーが、国内で調達できるミズナラ材を代替として採用しました。
しかし当初、ミズナラ樽の評価は高くありませんでした。新樽では木の香りが強すぎたためです。ところが15年、20年と長期熟成を重ねるうちに、和のお香や寺院の香木に通じる、他のどの樽材でも出せない独特の芳香が現れることが分かりました。
樽材として使えるのは樹齢200年以上の木に限られ、加工も難しいため、非常に希少な存在です。
この独特の香りは世界的にも高く評価され、スコットランドの蒸留所がミズナラ樽でフィニッシュした製品をリリースするなど、日本から世界へ影響を広げています。
スコットランドには100を超える蒸留所があり、各蒸留所は基本的に自分たちのスタイルの原酒を造ることに特化しています。ブレンデッドウイスキーを造るときは、他社の蒸留所から原酒を購入してブレンドするのが一般的です。
日本では長らく蒸留所の数そのものが少なかったため、この「他社から買う」という選択肢がありませんでした。そこで生まれたのが、1つの蒸留所の中に形状の異なるポットスチル(蒸留器)を複数設置し、発酵槽の材質や酵母の種類も変えることで、多彩なタイプの原酒を自社内で造り分けるという方法です。
山崎蒸溜所を例に挙げると、ポットスチルが16基、発酵槽が木製とステンレス製を合わせて20基。この設備の多様さから、フルーティな原酒もスモーキーな原酒も、1つの蒸留所の中で造り出しています。
日本の仕込み水は、スコットランドに比べて硬度の低い軟水が主流です。軟水は、軽やかでまろやか、繊細な味わいのウイスキーを生み出す傾向があります。
また、日本には四季があります。夏の高温で樽の木材が膨張し、ウイスキーが樽材の奥深くに浸透。冬の低温で木材が収縮し、浸透した成分がウイスキーに戻る。この膨張と収縮の繰り返しが、比較的短い期間でも複雑で奥行きのある風味を育みます。

ジャパニーズ・ウイスキーの個性をより明確に理解するために、世界5大ウイスキーの製法や味わいを比較してみます。
| 項目 | スコッチ | アイリッシュ | バーボン | カナディアン | ジャパニーズ |
|---|---|---|---|---|---|
| 主原料 | 大麦麦芽 | 大麦麦芽(未発芽大麦も) | トウモロコシ(51%以上) | ライ麦・トウモロコシ | 大麦麦芽 |
| 蒸留方式 | 主に2回蒸留 | 主に3回蒸留 | 連続式蒸留が主流 | 連続式蒸留 | 2回蒸留(多様な方式を併用) |
| 熟成樽 | バーボン樽の再利用が主 | バーボン樽・シェリー樽 | 新品オーク樽(内側を焦がす) | 種類は様々 | 多種多様(ミズナラ樽を含む) |
| 最低熟成期間 | 3年 | 3年 | 規定なし(2年以上で「ストレート」) | 3年 | 3年 |
| 味わいの傾向 | 重厚・スモーキー | 滑らか・軽快 | 甘い・バニラ感 | 軽やか・マイルド | 繊細・複雑 |
表を見ると、ジャパニーズ・ウイスキーはスコッチと同じく大麦麦芽を主原料とし、熟成期間も同じ3年以上。製法のルーツがスコッチにあることが分かります。
一方で、ミズナラ樽を含む多種多様な樽の使用や、1つの蒸留所内での多彩な造り分けにより、スコッチとは異なる「繊細で複雑な味わい」が生まれています。バーボンの甘くパワフルな個性ともまた違う、日本ならではの方向性です。

ジャパニーズ・ウイスキーの歴史は、2人の先駆者の情熱から始まりました。
日本のウイスキーの全ては、1冊のノートから始まったと言えます。
1918年にスコットランドへ渡った竹鶴政孝(たけつる まさたか)は、広島県の造り酒屋に生まれた青年でした。
グラスゴー大学で化学を学ぶ傍ら、スペイサイドのロングモーン蒸留所やキャンベルタウンのヘーゼルバーン蒸留所で実地研修に従事。仕込みから蒸留、樽詰めに至るまで、あらゆる工程を2冊のノートに書き留めました。
のちに「竹鶴ノート」と呼ばれるこの記録は、日本のウイスキー造りの設計図となります。
滞在中、竹鶴はスコットランド人女性のリタ(ジェシー・ロバータ・カウン)と出会い結婚。周囲の反対を押し切り、2人は共に日本へ向かいました。
帰国後、竹鶴は寿屋(現サントリー)の創業者・鳥井信治郎(とりい しんじろう)に招かれ、1923年に大阪・山崎で日本初の本格モルトウイスキー蒸溜所の建設に着手しました。
1929年には日本初の国産本格ウイスキー「サントリーウ井スキー」(通称:白札)が発売されます。この1923年は、「ウイスキー元年」とも呼ばれています。
竹鶴はその後、自らの理想を追い求めて1934年に独立します。目指したのは、スコットランドで見た霧深い風景と重なる土地。北海道・余市の冷涼な空気と澄んだ水がその条件に合い、大日本果汁株式会社(のちのニッカウヰスキー)を設立しました。
1980年代以降、焼酎ブームの台頭などでウイスキー市場は長期にわたる低迷期に入りました。しかし2008年、サントリーが仕掛けた「角ハイボール」の大規模プロモーションが転機となり、若い世代を中心にウイスキー人気が復活します。
2003年、ISCで山崎12年が金賞を受賞。これを皮切りに、国際品評会での受賞が加速しました。
そして2014年、ウイスキー評論家ジム・マレーが自著『Whisky Bible 2015』で「山崎シェリーカスク2013」を世界最高のウイスキーに選出。(この年のトップ5にスコッチが1本も入らなかったことは、世界中のウイスキー市場に衝撃を与えました。)
この出来事を機にジャパニーズ・ウイスキーの価格と知名度は急上昇し、入手困難な銘柄が一気に増えることになります。

歴史の章で触れた鳥井信治郎が興したサントリーは、現在、山崎・白州・知多の3つの蒸留所を擁し、多彩な銘柄を展開しています。

山崎は、サントリーを代表するシングルモルトウイスキーで、華やかな果実香と深い余韻が特徴です。
1923年に建設が始まった山崎蒸溜所は、大阪府と京都府の府境に位置し、桂川・宇治川・木津川の三川が合流する地点にあります。
この合流点は霧が発生しやすく、年間を通じて湿度が高い環境。名水百選にも選ばれた「離宮の水」と同じ水脈から良質な水を汲み上げ、仕込み水に使用しています。
蒸溜所内には形状の異なる複数のポットスチルが並び、1つの蒸留所で多彩なタイプの原酒を造り分けているのも山崎の大きな特徴です。熟成樽にはバーボン樽やシェリー樽に加え、日本固有のミズナラ樽も使用。ミズナラ由来の白檀(びゃくだん)に通じる香りは、山崎の個性を象徴する要素です。
ISC(International Spirits Challenge)では2023年に山崎25年、2024年に山崎12年、2025年に山崎18年が、それぞれ全部門の最高賞であるシュプリーム チャンピオン スピリットを受賞。同一ブランドの3年連続受賞はISC史上初の快挙です。

白州は、サントリーのシングルモルトウイスキーで、爽快で軽やかな味わいが特徴です。
白州蒸溜所は、山梨県・南アルプスの麓、標高約700mの森の中にあります。
「森の蒸溜所」の異名を持ち、仕込み水には南アルプスの花崗岩層で磨かれた硬度約30の軟水を使用。山崎が湿潤な低地に位置するのに対し、白州は冷涼で乾燥した高地の環境です。
蒸留にはガスによる直火加熱を採用しており、直火ならではの香ばしさが原酒に加わります。麦芽の一部にはピートで燻したものを使い、これが後味にほのかなスモーキーさを添えています。

響は、1989年、サントリー創業90周年を記念して誕生したブレンデッドウイスキーです。山崎のモルト、白州のモルト、知多のグレーンという、3つの蒸留所の原酒をブレンドして造られます。
山崎と白州でそれぞれ造り分けた多彩なモルト原酒に、トウモロコシを主原料とする知多蒸溜所の軽やかなグレーン原酒を合わせることで、単一蒸留所のウイスキーでは実現できない複雑さとなめらかさを両立しています。
24面カットのボトルには、1日の24時間と日本の暦である二十四節気の意味が込められています。

竹鶴政孝が創業したニッカウヰスキーは、余市と宮城峡の2つの蒸留所で、対照的な個性の原酒を造り分けています。

余市は、ニッカを代表するシングルモルトウイスキーで、スモーキーで骨太な味わいが特徴です。2008年のWWA(World Whiskies Awards)では、「シングルモルト余市1987」がワールドベスト・シングルモルトに選ばれました。
1934年に竹鶴政孝がスコットランドに似た冷涼な環境を求めて建設した余市蒸溜所は、北海道の日本海側に位置し、冷涼で湿度の高い海洋性気候の中で原酒を熟成させています。
最大の特徴は、竹鶴がロングモーン蒸留所で学んだ石炭直火蒸留を現在も維持していること。
石炭を燃料にポットスチルを直接加熱するため、蒸気や電気による均一な加熱とは異なり、火力に微妙なムラが生じます。このムラが原酒に複雑な香ばしさを与えています。
火力の調整は人の手に頼るところが大きく、現存する蒸溜所でこの方式を続けているのは世界でも余市だけとされています。
さらに麦芽の乾燥に北海道産のピートを用いることで、余市特有の力強いスモーキーさが加わります。

宮城峡は、余市と対をなすニッカのシングルモルトウイスキーで、フルーティで穏やかな味わいが特徴です。
1969年に竣工した宮城峡蒸溜所は、仙台市郊外、広瀬川と新川(にっかわ)が合流する地点に建てられました。竹鶴が初めてこの地を訪れた日、持参したブラックニッカを新川の水で割って一口飲み、即座にここに建設地を決めたと伝えられています。
余市が石炭直火蒸留であるのに対し、宮城峡ではスチーム間接蒸留を採用。蒸気で穏やかに加熱することで、原酒に荒々しさが出にくく、軽やかで華やかな酒質になります。ポットスチルも、上部が膨らんだバルジ型を使用しており、蒸留中に重い成分が釜に戻りやすいため、よりクリーンで軽快な原酒が得られます。

竹鶴ピュアモルトは、余市と宮城峡のモルト原酒をヴァッティング(複数のモルト原酒をブレンド)した銘柄です。創業者の名を冠したフラッグシップブランドであり、余市の力強さと宮城峡の華やかさを巧みに調和させています。
WWA(World Whiskies Awards)のワールドベスト・ブレンデッドモルトを合計10回受賞。世界で最も高く評価されたブレンデッドモルトの1つです。
なお、かつて販売されていた17年・21年・25年は原酒不足のため2020年に終売となり、現在は年数表記のないNAS(後述)のみが販売されています。

サントリーとニッカの2大メーカーに加え、近年は新興のクラフト蒸留所が急増しています。日本全国の蒸留所数は、10年前の約10ヶ所から、2024年時点で計画中を含めて100ヶ所を超えるまでに増加しました。
それぞれの蒸留所が地域の風土や独自の技術を活かし、大手とは異なる個性を持つウイスキーを生み出しています。

イチローズモルトは、埼玉県秩父市にある秩父蒸留所で造られるウイスキーです。創業者の肥土伊知郎(あくと いちろう)氏は、親会社の経営破綻で処分される運命にあった約400樽の原酒を個人で引き取り、そこからウイスキー造りを始めました。
ワンバッチの仕込み量わずか400kgという極小規模ながら、WWAのワールドベストを通算7回受賞(2025年時点)するなど、世界的な評価を得ています。

厚岸蒸留所は、北海道厚岸町に位置し、スコットランド・アイラ島のウイスキーを目標に掲げる蒸留所です。北海道の冷涼な気候を活かし、日本の二十四節気をモチーフにしたシリーズを展開しています。2022年のWWAでは「処暑(しょしょ)」がワールドベスト・ブレンデッドに選ばれました。

三郎丸蒸留所は、富山県砺波市にある、1952年にウイスキー蒸留を開始した蒸留所です。2019年に、梵鐘(ぼんしょう)の鋳造技術を応用した世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON」を導入。銅と錫(すず)の合金が生み出す独自の風味で注目を集めています。

嘉之助蒸留所は、鹿児島県日置市、吹上浜沿いの海辺に位置する蒸留所です。創業140年を超える焼酎蔵が独自に磨き上げてきた樽熟成のノウハウをウイスキーに応用。潮風を受ける環境での熟成が特徴です。

ここまで紹介してきた銘柄や蒸留所は、いずれも日本国内で原料の仕込みから熟成までを一貫して行っている「本物」のジャパニーズ・ウイスキーです。しかし、全ての製品がそうとは限りません。
長年にわたり、日本の酒税法にはウイスキーの原産国に関する規定がなく、海外から輸入した原酒を日本で瓶詰めしただけの製品でも「ジャパニーズウイスキー」として販売することが可能でした。さらに、ウイスキー原酒がわずか10%で、残りの大半が醸造アルコールであっても、法律上は「ウイスキー」として認められていました。
こうした製品の中には、ラベルに富士山や侍、日本の地名を使い、日本で造られたかのように見せるものも少なくありませんでした。スコッチやバーボンには原産地や製法に関する厳格な法律がある中、ジャパニーズウイスキーだけが明確なルールを持たない状態でした。
この状況を正すため、日本洋酒酒造組合(JSLMA)が2021年に「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を制定。3年間の移行期間を経て、2024年4月1日に全面適用となりました。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 原材料 | 麦芽(必須)、穀類、日本国内で採水された水のみ |
| 糖化・発酵・蒸留 | 全て日本国内の蒸留所で実施 |
| 熟成 | 700リットル以下の木製樽で、3年以上日本国内にて貯蔵 |
| 瓶詰め | 日本国内で実施 |
| アルコール度数 | 40%以上 |
この基準を満たさないウイスキーは「ジャパニーズウイスキー」と表示できません。たとえば、日本産原酒と海外産原酒をブレンドした製品は「ワールドブレンデッドウイスキー」などの名称で販売されています。
ただし、この基準は現時点では組合の自主基準であり、非加盟企業には法的拘束力がありません。2025年には、国際的な法的効力を持つGI(地理的表示)指定に向けた整備や、「JW」ロゴマークの制定など、基準の実効性を高める動きが進んでいます。

ウイスキーのラベルに記された「12年」「18年」などの数字は、ブレンドに使用された原酒のうち、最も若いものの熟成年数を示しています。「12年」と書かれていれば、使われた全ての原酒が12年以上熟成されているということです。
しかし現在、こうした年数表記のあるボトルは市場からほとんど姿を消しています。山崎12年や白州12年でさえ抽選販売の対象で、定価で手に入れることが困難な状況です。

原因は、1980年代から2000年代にかけてのウイスキー市場の長期低迷にあります。この期間に各メーカーは生産量を大幅に削減しました。ところが2010年代以降、ハイボールブームと国際的な評価の高まりで需要が急増。国内のウイスキー出荷量は大幅に回復し、2010年代後半には低迷期の倍近い水準にまで伸びました。
モルトウイスキーは大量生産ができず、熟成にも長い年月が必要です。12年物を造るには、12年以上前に仕込んだ原酒が不可欠。需要に供給が追いつかず、人気銘柄の年数表記ボトルが次々と姿を消しました。
| 銘柄 | 時期 | 状態 |
|---|---|---|
| 山崎10年 | 2013年 | 終売 |
| 白州10年 | 2013年 | 終売 |
| 白州12年 | 2018年 | 休売(2021年に数量限定で再販) |
| 響17年 | 2018年 | 休売 |
| 竹鶴17年・21年・25年 | 2020年 | 終売 |
代わりに主流となったのが、NAS(Non-Age Statement=年数表記なし)のウイスキーです。NASは「品質が低い」わけではありません。年数の縛りがないことで、ブレンダーが様々な熟成年数の原酒を自由に組み合わせ、「今、最高の味」を追求できるという利点があります。
現行品として販売されている山崎NAS、白州NAS、竹鶴ピュアモルトNASなどは、いずれもブランドの個性を楽しめる銘柄として高い評価を受けています。初めてジャパニーズ・ウイスキーを試すなら、まずはNASから入るのがおすすめです。

ジャパニーズ・ウイスキーは、竹鶴政孝と鳥井信治郎という2人の先駆者の情熱に始まり、日本の軟水、ミズナラ樽、四季の気候、そして職人たちの技術が100年かけて育て上げた文化遺産です。
2024年の新基準によって「本物」の定義が明確になり、品質への信頼がさらに高まりました。大手2社だけでなく、全国各地のクラフト蒸留所がそれぞれの土地の個性を活かした新しいウイスキーを生み出し続けています。
銘柄の特徴や歴史、製法の違いを知った上で飲むウイスキーは、味わいの解像度がまるで違います。この記事で得た知識を携えて、自分に合った1本を見つけてみてください。
