大阪天満の人気たこ焼き「寛子」外も中もとろける、幸せを呼ぶ黄色い一皿

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大阪天満の人気たこ焼き「寛子」外も中もとろける、幸せを呼ぶ黄色い一皿

飲み歩きの街・天満で愛されるたこ焼き

JR天満駅前の通りと飲み歩きの街の入り口

大阪天満。JR天満駅の北側、いわゆる「裏天満」を歩いていると、路地からふわりと漂うソースの香り。ここには地元の人から旅行者まで、長らく愛され続ける老舗のたこ焼き店があります。

「幸せを呼ぶ黄色いたこ焼き」と称されるこのお店は「寛子」。どこか心がほどけるやさしい味と、女将さんの人情と愛情が、今日も人々をそっと引き寄せています。

たこ焼き 寛子

店先に並ぶ人々と赤い暖簾が揺れる寛子の外観

たこ焼き 寛子は、大阪・天満にある昔ながらの路面たこ焼き店です。玉子を多めに使った生地を丁寧に焼き上げるとろとろ食感が評判で、地元の人から長く愛されている一軒です。

たこ焼き 寛子 基本情報
項目内容
所在地大阪府大阪市北区天神橋5-6-3
アクセスJR「天満」駅から徒歩約2分
営業時間11:00 〜 17:00
定休日不定休

焼き台を囲んで、できたてを味わう

焼き台の前でたこ焼きを返す女将さんの手元

細い路地の一角にある小さな店先で、焼き台を囲むように人が集まります。暖簾越しに見える鉄板の上には、玉子をたっぷり含んだ生地がゆっくりと膨らみ、手際よく返していくたびに、ふわりと湯気が立ちのぼります。

ふわりとした生地が鉄板でゆっくり焼かれている様子

注文した人は店先で受け取り、そのまま立って食べるのがこの店のスタイル。しかしテイクアウト専門ではなく、店頭そのものが小さなスタンド席になっていて、その場で食べたいひとはここで食べることができます。3〜4人程度の店頭スペースです。

店頭で順番を待つ人々が穏やかに並ぶ路地の風景

旅行者も、仕事帰りの人も、ふらりと立ち寄った人も、同じように焼き上がりを待ち、自然と列ができます。列はできていても、どこかせかせかした空気はありません。前の人が食べ終わるのを待ち、少しずつ場所を譲り合う。そんなごく当たり前のやりとりが、この店では静かに続いています。女将さんの「ゆっくり食べてな」という一言が、その場にいる人たちの動きをやわらかく整えているように感じられます。

カウンターの上に置かれたお茶と色鮮やかなタオル

焼き立てをその場で頬張る時間は、ほんの数分かもしれません。けれど、その短い時間に宿るあたたかさこそが、寛子を訪れる理由のひとつです。

たこ焼きは一択。シンプルでまっすぐな一品

メニュー看板とたこ焼きを焼く女将さんの横顔

寛子のメニューは、たこ焼きの一品のみ。10個から注文することができます。味付けはソースが基本で、トッピングや派手なアレンジはありません。生地そのもののやさしい甘みと、ソースのほどよい酸味をそのまま味わう、まっすぐな一皿です。

1皿の価格は300円ですが、支払いのときに50円を返してくれます。幼少期に戦争を経験し、戦後も苦労し続けてきた女将さんが「お金がない若者でもお腹いっぱい食べてほしい」と続けてきたやり方だといいます。昔から変わらず受け継がれてきたその気持ちが、今もそっと店に息づいています。

観光客が多い日でも、常連が立ち寄る日でも、このシンプルさは変わりません。飾らないたこ焼きが、ただそのままにそこにある店です。

たこ焼きメニュー
個数価格(1皿)
10コ¥300
15コ¥400
20コ¥500
25コ¥600

外も中もとろける、ふわとろの口どけ

寛子のたこ焼きは、生地に玉子が多めに使われていて、たこ焼き自体もほんのり黄色いのが特徴です。

ほんのり黄色いふわとろたこ焼きにソースがかかった皿

そしてひと口めから、思わず驚かされます。外側にうっすらと焼き色はついていますが、いわゆる「外カリ中トロ」の食感とはまったく違います。外も中もやわらかく、とろりととろけるような、滑らかな口あたりです。箸でそっと持ち上げようとしても、崩れてしまうほどのやわらかさがあります。

生地の甘みとソースが重なるたこ焼きの近接カット

ほのかな甘み。そしてそのやさしい味わいに重なるのは、芳醇な甘さとほんの少しの酸味をあわせ持つソース。強く主張するものではなく、生地の甘みを引き立てるための、控えめでやわらかな風味です。

タコは小さめで、前に出すぎることはありません。主役はあくまでも生地とソースの調和。そのバランスが、食べ進めるほどに心地よく続いていきます。

崩れるほどやわらかいたこ焼きを箸ですくう瞬間

気がつけば、10個はあっという間。ふわりと消えるような食感は、まさに「飲めるたこ焼き」という言葉がぴったりです。そのクリーミーさに、食べ進めている間、ずっと幸せな気持ちになれます。

また立ち寄りたくなる、やさしいたこ焼きの時間

ひと皿のたこ焼きを食べ終えるまでの時間は、ほんの数分。けれど、その短い時間に感じるあたたかさが、ここにはあります。路地に並ぶ人たちの穏やかな空気や、「ゆっくり食べてってな」と声をかける女将さんのやわらかさ。そのすべてが、たこ焼きのやさしい味と同じ温度で続いていきます。

裏天満の路地で列に並びながら出来上がりを待つ人々

女将さんの愛嬌もとても良く、お茶を出してくれたり、子供にはお菓子やアイスをくれたりと、人情や愛情にあふれています。娘さんとお孫さんと3人で切り盛りされていますが、チームワークもとてもよく、てきぱきとたこ焼きが提供されます。

ふわりととろける生地の黄色は、まるで気持ちまでほどけていくようなやわらかさ。まさに「幸せを呼ぶ黄色いたこ焼き」と呼びたくなる味わいです。

店先のカウンターでできたてのたこ焼きを味わう時間

天満に来たとき、また少し立ち寄りたくなる。そんなさりげない日常のなかにある、小さなごちそうのような店です。

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